大阪大学大学院人間科学研究科『年報人間科学』22号: 17-31頁。ISSN 0286-5149。 2001年3月。田中 重人 (TANAKA Sigeto) (tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp)
NHK放送文化研究所が1990年代前半に整備した日本・カナダ・アメリカ・イギリス・オランダ・デンマーク・フィンランドのデータの2次分析をとおして、性別−生活時間の四分表から労働時間構成の効果とライフスタイルにおける男女平等化の効果を識別するあたらしい指標をつくる。
女性・男性による家事時間をそれぞれ a と y で、女性・男性による仕事時間を x と b であらわす。また周辺分布をつぎの記号であらわす: F=a+x; M=b+y; T=F+M; U=a+y. まず矢野眞和の定義した「不平等指数」を変形した指標として d=T-2(x+y) を考える。実際の社会では男女の労働時間 F と M とがつりあっていないといけないという制約があるとすると、d は「非対称限度」 C=T-2|F-U| をこえられない。この C は周辺分布によってきまり、個人のライフスタイルの選択幅を構造的に制約している。 d と C との差を C で割って周辺分布の影響をのぞいたのが男女平等ライフスタイルの浸透度をあらわす「平等達成度」E=(C-d)/C になる。
最後に E と C による7か国の2次元散布図を Alan Siaroff による福祉国家類型に対応させて解釈し、
[全文 (258KB PDF)] これは編集委員会に原稿を提出したときのものなので、雑誌に掲載されたものとはレイアウトがちがいます。 また文章も一部ちがっています。
Created at 2000-11-09. Last updated at 2001-08-24. Sorry to be Japanese only (encoded in accordance with MS-Kanji: "Shift JIS").