URL: http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/writing/
作成：田中重人 (講師)

現代日本論基礎講読

授業内容

大学での研究 (たとえば授業での課題，レポート，卒業論文など) で要求される文章は、つぎのような条件を満たさなければなりません：

• データに基づいた論理的な推論を中心とする
• 論理構造に沿った章立てや段落分けが重要である
• 誤解をまねかないよう正確に書かなければならない
• 先人の業績と自分の意見とを区別しなければならない
• そのために文献参照の規則を守らなければならない

この授業では、これらのルールを学ぶと同時に、実際に論文を執筆し、受講者相互の批評をとおして執筆のプロセスを習得します。

成績評価

• 各回の授業中の課題 (40％)
• 中間レポート (20%)
• 期末レポート (40%)

中間・期末レポート [6/20 現在の予定]

• 中間レポート：本・雑誌記事・TV番組などなんでも批評
  • 5/23 授業時 に計画を提出する。
  • 6/6 授業時 に草稿を提出する。
  • 提出された草稿をランダムに配布して、匿名で相互批評 (赤ペンでコメント)。
  • コメントを参考に書きなおして、6/20授業時 に提出。
  • この最終稿が採点対象になる。
  • 最終稿の内容によっては、書きなおしを指示することがある。
• 期末レポート：各自でテーマを選んで最終レポート
  • 7/18 授業時 に構想と「目標規定文」を提出
  • レポート本体は 8/12 までに提出
  • 「執筆経過」を 8/20 までに提出

中間レポート、期末レポートとも、特によいものについては、著者の同意をえたうえで、 インターネット上で公開することを考えています。 過去のものについては、 http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2001/writing/ から一部たどれるようになっているので、参考にしてください。

受講者へのフィードバック

• 中間レポート、期末レポートは、採点してコメントをつけて返却します。
• 毎回の課題・宿題は、原則として返却しません。 採点結果を知りたい場合は、個別に問い合わせてください。

授業目次

1. 論文の文章 (4/11)

• この授業の概要
• なんの役にたつのか
• 参考文献の紹介
• 各自の興味・文章執筆経験について調査

2. 論文の構成 (4/18)

• 論文全体の構成
• 表題のつけかた
• 本文の構成：序論−本論−結論
• 本論の基本形
• セクション (節) をたてる

3. パラグラフ (4/25 - 5/9)

• ブロック単位の書きかた
• パラグラフ (段落)
• トピックとパラグラフ

4. 文章を分析する (5/16)

• 文節
• 係り受け
• 構文木
• 並列構造
• 読点の打ちかた
• さまざまな記号

5. わかりやすい文章 (5/23)

• わかりやすい文章とは
• 単純な構文
• 飛躍のない文章を
• つなぎの言葉に注意
• 省略しない
• 視点を固定する

6. 構想・立案・材料の準備 (5/30)

• テーマをしぼり込む
• 目標規定文
• 先行研究の探索
• メモ、スケッチ、構成表

7. 草稿を読む (6/6)

この段階での原稿を提出し、ランダムに配布して匿名で相互批評 (赤ペンでコメント)
→コメントを参考に書きなおして、次々回授業時 に提出

8. 図、表、箇条書き、注 (6/13)

• 中間レポート草稿について講評
• 表と図の約束事
  • 通し番号とタイトルをつける
  • 文中では番号で参照
  • 表のタイトルは上、図のタイトルは下
  • 「それだけでわかる」ようにかく
  • 下端に注釈をつける
• 箇条書き
• 数式、フォーマルな命題、ブロック引用など
• 注のつけかた

9. 事実と意見 (6/20)

• 主体から独立した(=客観的実在としての) 事実
• 事実と意見をわける
• 根拠のある意見

10. 正確な文章 (6/27)

• 「概念」と「用語」
• 多義性とのたたかい

11. 書誌情報の利用 (7/4)

• 文献の種類
• 書誌情報：本や雑誌を特定するには
• 灰色文献
• 文献表のつくりかた

12. 文献参照 (7/11)

• 文献参照の目的
• 文献参照の種類：直接引用、間接引用、(狭義の) 参照
• 引用のルール：インライン引用、ブロック引用
• 文献表との対応づけ
• 「孫引き」について

13. 公表文章の倫理 (7/18)

• 情報をめぐる利害
• 秘密をまもる権利と義務
• 経済的利益の保護
• 著作権問題
• 引用の制限
• プライオリティの尊重
• 「差別表現」をめぐって

教科書と参考文献

教科書

• 木下是雄 (1981)『理科系の作文技術』中央公論新社．

• 入門者向け情報
• 系統的な練習
• 文科系の作法
• 日本語の文法
• ワープロによる執筆プロセス
• 研究の糸口

他の推薦図書

• 斉山弥生・沖田弓子 (1996)『研究発表の方法』凡人社．
• 二通信子・佐藤不二子 (2000)『留学生のための論理的な文章の書き方』スリーエーネットワーク．

• 浜田麻里・平尾得子・由井紀久子 (1997)『大学生と留学生のための論文ワークブック』くろしお出版.

• 斉藤孝・西岡達裕 (2005)『学術論文の技法』(新訂版) 日本エディタースクール出版部．
• Gibaldi, J. (1998)『MLA英語論文の手引き』北星堂書店．

• 大野晋 (1998)『日本語練習帳』岩波書店．
• 井上優 (2002)『日本語文法のしくみ』研究社．
• 各種国語教科書・参考書

• 木村泉 (1993)『ワープロ作文技術』岩波書店．
• ワープロソフトの解説書・マニュアル類

• 渋谷恵宜 (2000)『卒論応援団』クラブハウス．
• 戸田山和久 (2002)『論文の教室: レポートから卒論まで』日本放送出版協会。

• 田中重人 (2005)「レポートを作成する」『人文社会科学ハンドブック: スキルと作法』東北大学出版会, pp. 74-80．

必要な準備

国語辞典 (授業中に使う場合がある)

赤ペンおよびその他の色のペン (授業中に使う場合がある)

レポート執筆用にパソコンを使える環境を確保すること

• 手書きでは推敲がむずかしい
• 当授業のレポートは自筆不可
• 各研究室・コンピュータ実習室などを積極的に利用する

宿題

附属図書館2号館で所蔵している学術雑誌から適当な論文 (セクションがすくなくとも4つ以上にわかれているもの) を探し、その論文の目次を作成する。

A4用紙1枚に、つぎのような様式で書くこと：

現代日本論基礎講読 宿題 (2008年4月18日提出)
氏名：田中重人
所属：東北大学文学部日本語教育学研究室
学年：2年生
学籍番号：A7LB0000

論文の著者：○○××
論文の出版年：1987
論文の表題：○○○○○○○○○○○○
雑誌名：○○○学研究
巻・号：○号
ページ：○○−××

目次
〔以下、その論文の章・節等のタイトルを順次ならべてください。 わかりやすいように整形すること〕

その論文の最初のページのコピーをあわせて提出すること。

論文のコピー をとっておいてください。 次回の授業で使うので、持ってくること。

予習

出口

• 2007年度「現代日本論基礎講読」(オンライン資料なし)
• 2006年度「現代日本論基礎講読」(オンライン資料なし)
• 2005年度「現代日本論基礎講読」(オンライン資料なし)
• 2004年度「現代日本論基礎講読」
• 2003年度「現代日本論講読 I」
• 2002年度「現代日本論講読 I」
• 2001年度「現代日本論講読 I」

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