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作成:田中重人 (東北学院大学教養学部非常勤講師; 東北大学文学部講師)
※( )内の日付は、おおよその計画をあらわしているものです。 実際の授業の進行状況によって前後にずれることがあります。
この授業では、「性別に関する現象についての社会科学・人文科学的な観点からの研究」のことを「ジェンダー論」とする (必ずしも普遍的な定義ではないので注意)。
「性別」による特徴は、生物学的なものだと考えられてきた。 これに対して、性別による特徴の多くは社会的・文化的につくられていると考えられるようになってきた。 この「社会的・文化的な性別」を示すことばとして「ジェンダー」(gender) がつかわれるようになった。
もともとは「種類」をあらわすことば。 Genre (ジャンル) とおなじ語源。
ヨーロッパ系言語にみられる文法上の「性」。
ネジやコネクタの形状による「オス」「メス」の区別を指すこともある。
このことばを借用して、従来使われてきた「sex」(生物学的性別) とは別の「社会的・文化的性別」をあらわすことばとして 「gender」が使われるようになった。
そのあと概念が拡散して、単に「性別」の言い替え語としてつかわれるようになって来ている。 現在では、「gender」ということばが使われる場合、多くは「性別」の現代風の言い替え語、 という意味しか持っていない。
「Gender」ということばは、生物学的な特性は変えられないが社会的・文化的な特性は変えられる、というメッセージをともなって普及した。 この背景には、「女性解放運動」(women's liberation; feminism) がある。
しかし、その後の医学・医療技術の発達にともない、生物学的な「性別」も不変で安定的なものではないということが常識化してきた。
→ 「生物学的な特性は不可変、社会的・文化的な特性は可変」という考えが通用しなくなり、これらを区別する意義が薄れてくる。
「生物学的」「社会的・文化的」の線引きはそれほどはっきりしたものではない。 生物学的な特性は社会的・文化的環境の影響を受ける。 逆も当然ある。
「生物学的」「社会的・文化的」性別をそれぞれ区別して別の名前で呼ぶとすると、 では両者をまとめてあつかいたいときはなんと呼べばよいのか、という問題が出てくる。 日本語なら、単に「性別」ですむ。 しかし、英語圏では、「gender と sex の両方」という意味のことばがなかった。 そこで、両方まとめて「gender」と呼んでしまう用法が広まった。 この用法は、全世界の社会科学・人文科学に波及。
これとは別に、「gender」を動詞として使う用法が出てくる。 「性別に関する知識や制度を作り出す」という意味で使われている。 日本語では「ジェンダー化」(する) と訳されていることが多い。
例:
このように、「gender」ということばについては、3種類の用法が共存する状態になっている。
論文等でこのことばをみたときは、内容・文脈によって判断しなければならない。 専門用語としては使いにくいものになりつつある。
この授業では 3. についての社会学的研究が中心
つぎのことばは、それぞれどういう意味か。別紙「出席カード」に回答して提出してください。裏面まで使ってかまいません。
これは受講者の予備知識をみて授業の参考にするためのものなので、成績には関係ありません。
※ そのほか、この授業への注文が何かあれば、書いてください。。
※ 氏名によみがなをふっておいてください。
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