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作成:田中重人 (准教授)
東北大学文学部 Iセメスター「人文社会総論」(2010)
第3回 レポートの書き方 (4/16)
PDF版資料:
[配布プリント]
[投影スライド]
[課題用紙]
- [課題]
これまでに自分が書いてきた「文章」としてどういうものがあるか。それと比較して、大学でのレポートはどこが異なるか。また自分がレポートを書く際に苦労しそうなことは何か。
このプリントと『人文科学ハンドブック』II-8 を参考にして、授業時間内に完成させること。
- 授業前半と後半に執筆のための時間を設ける。
- 他の受講者と相談してよい。用紙下部「修正指示/感想をくれた人」欄に氏名と相談内容を書くこと。
レポートとは何か
Report = 「報告」
この授業では、「授業時間外での執筆を要求される文章作成課題のうち、分量が相当程度あり、内容について自由度の高いもの」を指す。授業中に書くミニット・ペーパー、実習授業における実験結果等の簡単な報告書、情報処理の授業におけるプログラム作成課題などはふくめない。
学生側から見たレポート
東北大学学部通則 第24条の3「授業科目の単位の計算方法は、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準と」する
教員側からみたレポート
メリット
- 知識を「使いこなせる」ようになる
- 応用力・問題解決能力の育成
- 研究のプロセスを体験してもらう
デメリット
個々の知識の習得ではなく、それを使用することができるかを把握したい場合に用いる。
やってはいけないこと
Plagiarism
他の人のアイデアを、自分の発見であるかのように書いてはならない。
- 研究者共同体における priority 原則:
研究成果は、はじめに発見した人に帰属する
他の人の書いたものを利用するときは、かならず出典を明記する。
- →
文献引用の方法
未公開の文章、討論、口頭でのアドバイスなどについても、誰のアイデアであるかを明記する
- →
文献引用と同様にする場合、注で言及する場合、謝辞の欄を設ける場合などがある
大学のレポートにおける plagiarism は、データの捏造や筆記試験における「カンニング」と同様の不正行為とみなされる。
著作権の侵害
著作権法 第32条「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」
- 自分の文章が「主」、引用文が「従」
- 引用の範囲が明確であること (→ 引用の手法)
- 引用文の分量: 必要最小限の部分だけを引用する
- 出典の明示
- 公表されていない文章等の引用には、著作権者の許諾が必要
レポートの公的性格
レポートは、学術論文としての体裁を整え、第三者に対して公開できる内容であることを要求される。
- プライバシーと個人情報への配慮
- 多くの人にわかる内容、ことばづかい
- 個人的な事情や教員への私信を書かない
その他
- 提出期限厳守
- 分量・表紙などの様式
- 課題出題者の指示にしたがうこと
よいレポートを書くための心得
作成のプロセス
- テーマの決定と内容のしぼりこみ (この時点でかなりの知識が必要 → 書店・図書館を活用)
- 材料あつめ (メモと情報整理の方法)
- 組み立てを考える
- 書き下ろす
- 整形する
- 磨く
余裕をもって計画を立てる
レポート作成の各段階には、相当の期間が必要。
- 早めに着手すること。
- 文章を推敲する期間を必ず見込んでおくこと
- 草稿を読んでもらって意見をもらうこと (意見にしたがって変更した部分について、謝辞等を明記)
日頃の蓄積
- 興味のある事柄について、学術的な論文・書籍を読む経験をつんでおくこと
- 特に、論文等に載っている文献リストを「芋づる」式にたどって資料を集める経験が重要
- 内容を正確に把握すること、批判すること、文献間の共通点・対立点を整理すること
- 図書館の使いかたにも慣れておくこと
- 他の人と議論したり文章を添削したりする機会を持つこと
文献
TANAKA Sigeto
History of this page:
- 2010-04-16:Created
- 2010-04-29:Minor corrections
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