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作成:田中重人 (東北大学文学部准教授)
東北大学文学部 (2010年度) 現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
第6講 構想・立案・材料の準備 (5/21)
[配布資料PDF版]
- [今回のテーマ]
レポートの構想を立てる
パラグラフ課題についてコメント (補足)
行間は、全角1文字分程度の高さをあけること。Microsoft Word では、行間を「1.5行」にすると、ほぼこの行間になる。ただし、「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」のチェックをはずす必要がある。
読点の打ちかた
句点と読点
句点 (。) またはピリオド (.) = 文の終わりに打つ
読点 (、) またはコンマ (,) = 文の内部構造を示すために打つ
- [、 と 。]
の組み合わせ …… 通常の文章 (この授業ではこれを推奨)
- [, と 。]
の組み合わせ …… 官公庁の文章 (の一部)
- [, と .]
の組み合わせ …… 数式や英文を多用する文章 (教科書の用法)
例題
つぎの文はそれぞれどこに読点を打つとよいか?
またそれらの読点はどのような機能をはたしてているか?
- 彼は携帯電話にもっと高度な機能をもたせるべきだと主張する。
- 分析の結果から以下のことがわかる。
- 先週京都大阪奈良に行った。
- 日本の法律では女性は16歳男性は18歳にならなければ婚姻することができない。
係り受けが遠く離れている場合
- [例文]
これらの図を使って説明すると、学生は、日本文における「主語」の不在を、すんなりと理解してくれる。
遠いほうから順に打つこと。
- [×]
これらの図を使って説明すると学生は日本文における「主語」の不在を、すんなりと理解してくれる。
- [×]
これらの図を使って説明すると学生は、日本文における「主語」の不在を、すんなりと理解してくれる。
- [○]
これらの図を使って説明すると、学生は日本文における「主語」の不在をすんなりと理解してくれる。
文頭の接続語 (しかし、したがって…… など) で、文全体を修飾しているものは、構文木の「根」に係ると考えて読点を打つ
- [○]
したがって、FJH命題については、このアプローチでは証明できない。
- [×]
したがってFJH命題については、このアプローチでは証明できない。
係り受けを示す読点は、「根」に係る文節にだけ打つほうがよい (絶対的な規則ではない)
- [○]
この本は、生成文法について基礎的な知識を持つ読者を対象にする。
- [△]
この本は、生成文法について、基礎的な知識を持つ読者を対象にする。
並列の要素同士を区切る
- [例文]
京都、大阪、奈良に行った。
- [例文]
……能力や学力、あるいは学業成績によって…
- [例文]
技術が進歩し、企業経営の計画性が高まってくると……
並列要素を区切るには、読点以外の記号や接続 (助) 詞も使える。できれば、読点を使わずに済ませるほうが望ましい。
- [例文]
京都・大阪・奈良に行った。
- [例文]
……能力や学力や学業成績によって…
- [例文]
技術が進歩して企業経営の計画性が高まってくると……
間接引用 (的な表現) を囲む。
- [例文]
Hall は、キャリア概念がとらえどころのないものになってしまうのは、この概念に4つの異なる意味が含まれているからだ、と述べている。
- [例文]
統計解析ソフトの普及にともなって、計算プロセスの理解がないままに複雑な統計手法をつかった論文が量産されるようになる、などの弊害が指摘されている。
この用法では、文節の途中に打つことが多い。なお、直接引用の場合はカギ括弧「 」で囲む。
間投詞のあと; 強調や息継ぎや間を示す文学的/会話的表現など
- [例文]
ああ、それなら、わかる。
- [例文]
そうだ京都、行こう。 (JR東海のキャッチコピー)
論文の文章でこの用法をつかうことはめったにない。
構想を立てる
準備と方法
まず、材料集め (→
4/30「パラグラフ」
配布資料)。中間レポートでは「素材」が決まっているので、そこから注目すべきところについて付箋をつけたりカードに書き出したりするとよい。
材料が集まったら、
- どんな順序に並べるか
- どういうセクションを立てるか
を決める。 いずれにしても、文章を書き始める前に、 紙の上で構成を考える
- 方法1:
大きな紙の上で「構成表」をつくる
- 方法2:
カードを利用して「スケッチ・ノート」をつくる
この時点で、鍵になる用語を決め、 概念の定義をしておくとよい
構成表
教科書 pp. 52-53
- 配列と構造を考えながら、 大きい紙に項目を書き並べる
- 色ペンなどを活用する
スケッチ・ノート
教科書 p. 54
- ひとまとまりの項目を小さいカードに書き出す
- それらのカードを並べて、 配列を考える (カード1枚が1パラグラフに対応する)
- 広い場所が必要である
- カードをまとめるのに、 色ペン・輪ゴム・ホチキスなどを活用する
- 項目の単位がはっきりしている必要がある
暫定的目次
- 構成ができたら、各セクションの見出しをつけて、まず目次から書きはじめる
- 目次は、本文を書き進めるにしたがってどんどん変更する
- 項目の取捨選択も重要である
次回の準備
次回は中間レポート草稿の相互批評をおこないます。
- 草稿は2部印刷してくる
- 赤およびその他の色のペンをもってくる
- 辞書を用意する
レポートの様式については、
5/7 配布資料
を参照。
この授業のインデックス
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次回の授業
TANAKA Sigeto
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- 2010-05-21:Created
- 2010-05-21:Minor corrections
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