URL: http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/writing/
作成:田中重人 (准教授)
現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
東北大学文学部 2011年度 (3セメスター) 2年生対象
(時間割コード=LB35103)
<金1>133教室 (文学部棟 1F)
[配布資料セット (PDF版)]
授業内容
大学での研究 (たとえば授業での課題,レポート,卒業論文など) で要求される文章は、つぎのような条件を満たさなければなりません:
- データに基づいた論理的な推論を中心とする
- 論理構造に沿った章立てや段落分けが重要である
- 誤解をまねかないよう正確に書かなければならない
- 先人の業績と自分の意見とを区別しなければならない
- そのために文献参照の規則を守らなければならない
この授業では、これらのルールを学ぶと同時に、実際に論文を執筆し、受講者相互の批評をとおして執筆のプロセスを習得します。
成績評価
- 授業中の課題と宿題 (40%)
- 中間レポート (20%)
- 期末レポート (40%)
中間・期末レポート
中間レポート、期末レポートはそれぞれつぎのような内容にする予定:
- 中間レポート:本・雑誌記事・TV番組などなんでも批評
- 6/11 授業時 に計画を提出する。
- 7/1 授業時 に草稿を提出する。提出された草稿をランダムに配布して、相互に批評 (赤ペンでコメント)。
- コメントを参考に書きなおして、7/15 授業時 に提出。
- この最終稿が採点対象になる。
- 最終稿の内容によっては、書きなおしを指示することがある。
- 期末レポート:各自でテーマを選んで最終レポート
- 7/29 授業時 に構想と「目標規定文」を提出
- 8/5 レポート内容について討論
- 8/19 までに提出 (詳細未定)
(いずれも現時点での予定です。授業の進行状況などによって変更する場合があります。)
中間レポート、期末レポートとも、特によいものについては、著者の同意をえたうえで、
インターネット上で公開することを考えています。
過去のものについては、
http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2001/writing/
から一部たどれるようになっているので、参考にしてください。
受講者へのフィードバック
- 毎回の課題・宿題は、コメントをつけて返却します (内容によっては再提出を求めることもあります)。
学期末にこれらをもう一度まとめて提出することになるので、捨てずにとっておいてください。
- 中間レポート、期末レポートは、採点後に返却します。
授業予定
- この授業の概要
- なんの役にたつのか
- 参考文献の紹介
- 各自の興味・文章執筆経験について調査
- 論文全体の構成
- 表題のつけかた
- 本文の構成:序論−本論−結論
- 本論の基本形
- セクション (節) をたてる
[課題用紙PDF (5/20)]
- トピックと関連情報
- パラグラフ (段落)
- トピック・センテンス
- パラグラフの配列
[課題用紙PDF (5/27)]
- テーマをしぼり込む
- 目標規定文
- 先行研究の探索
- メモ、スケッチ、構成表、マインドマップ
- さまざまな記号
- 表と図
- 注のつけかた
- 概念と用語
- 事実と意見をわける
- 根拠のある意見
- はっきり言い切る姿勢
★中間レポート 相互批評
この段階での原稿を提出し、ランダムに配布して相互批評 (赤ペンでコメント)
→コメントを参考に書きなおして、次々回授業時 に提出
- 中間レポート草稿について講評
- 文献の種類
- 書誌情報:本や雑誌を特定するには
- 灰色文献
- 文献表の仕組み
- 期末レポートについて
- 表題と副題
- キーワードを選ぶ
- 謝辞
- 情報をめぐる利害
- 秘密をまもる権利と義務
- 経済的利益の保護
- 著作権問題
- 引用の制限
- プライオリティの尊重
- 「差別表現」をめぐって
- 文献参照の目的
- 直接引用と間接引用
- インライン引用とブロック引用
- 文献表との対応づけ
- 「孫引き」について
- 図表などの利用
8/5 は期末レポート内容についての討論をおこなう。
教科書と参考文献
教科書
この教科書に欠けているもの:
- 入門者向け情報
- 系統的な練習
- 文科系の作法
- 日本語の文法
- ワープロによる執筆プロセス
- 研究の糸口
他の推薦図書
入門者向け:
- 斉山弥生・沖田弓子 (1996)『研究発表の方法』凡人社.
- 二通信子・佐藤不二子 (2000)『留学生のための論理的な文章の書き方』スリーエーネットワーク.
系統的な練習:
- 浜田麻里・平尾得子・由井紀久子 (1997)『大学生と留学生のための論文ワークブック』くろしお出版.
文科系向け:
- 斉藤孝・西岡達裕 (2005)『学術論文の技法』(新訂版) 日本エディタースクール出版部.
- Gibaldi, J. (1998)『MLA英語論文の手引き』北星堂書店.
日本語文法に関して:
- 大野晋 (1998)『日本語練習帳』岩波書店.
- 井上優 (2002)『日本語文法のしくみ』研究社.
- 各種国語教科書・参考書
ワープロによる執筆法:
- 木村泉 (1993)『ワープロ作文技術』岩波書店.
- ワープロソフトの解説書・マニュアル類
研究の糸口のつかみかた:
- 渋谷恵宜 (2000)『卒論応援団』クラブハウス.
- 戸田山和久 (2002)『論文の教室: レポートから卒論まで』日本放送出版協会.
レポート全般:
- 田中重人 (2005)「レポートを作成する」『人文科学ハンドブック: スキルと作法』東北大学出版会, pp. 74-80.
- 酒井聡樹 (2007)『これからレポート・卒論を書く若者のために』共立出版.
必要な準備
国語辞典 (授業中に使う場合がある)
赤ペンおよびその他の色のペン (授業中に使う場合がある)
レポート執筆用にパソコンを使える環境を確保すること
- 手書きでは推敲がむずかしい
- 当授業のレポートは自筆不可
- 各研究室・コンピュータ実習室などを積極的に利用する
宿題
附属図書館所蔵の学術雑誌からつぎの条件を満たす適当な論文を探し、コピーをとる。
次回の授業で使うので、持ってくること。
- セクションがすくなくとも4つ以上にわかれていること
- 文献一覧が付いていること
つぎの部分をコピーすること
論文の全体
- 雑誌の名称や出版者がわかる部分 (表紙など)
- 雑誌の編集方針や論文掲載基準がわかる部分
予習
教科書 3.2-3.4節 (35-50ページ), 10.3節 (196-213ページ) を読んでおくこと。
出口
過去の授業:
今年度の授業:
TANAKA Sigeto
Created: 2011-05-12.
Updated: 2011-05-13.
Updated: 2011-06-30.
Updated: 2011-07-08.
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