[Previous page]
[Next page]
URL: http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2012/quesg/q121011.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
比較現代日本論演習II「質問紙調査の理論と実践」
第2講 仮説の設定 (10/11)
[配布資料PDF版]
[課題用紙PDF版]
- [今回のテーマ]
理論とデータの対応
課題
配布した調査票を見て、理論仮説と作業 (操作) 仮説との対応を考える。
- 用紙の左半分に理論仮説、右半分に作業仮説を書く。複数取り上げた場合は、対応関係がわかるよう、番号をつけるか線で結ぶなどすること。
- 作業仮説については、どの変数についてどのような分析をすればよいかがわかるように書くこと
- 教科書のほか、何を調べてもよい (教科書の対応箇所は pp. 51--54)。何を調べたかは、用紙下部に記入する。
- 周囲の人に見せて意見をもらい、用紙下部の該当欄に記入すること
理論とデータ
頭の中で考えたことを理論 (theory) という。実証研究においては、理論的なレベルで検証すべき「仮説」をはっきりさせたうえで、それに対応したデータを集めるよう調査方法等を工夫する。
- 仮説 (hypothesis):
研究によって真偽を決定すべき命題
- 理論仮説 (theoretical ---):
理論的なレベルで考えた仮説
- 作業仮説 (working ---):
データによって検証可能な仮説 (操作仮説 operational --- ともいう)
理論仮説を作業仮説に翻訳する作業を「操作化」(operationalization) という。
- 理論は直接検証できない
- 検証できるのは作業仮説のみ → 「もしその理論が正しいとしたら、●●の現象が観察されるはずである」
- 作業仮説が棄却された場合 → 理論仮説か操作化のどちらかがまちがっている
- 作業仮説が支持された場合、理論仮説や操作化が正しいということが主張できるわけではない
- 科学的研究における「通説」(accepted theory) は、たくさんの研究の結果、その理論仮説を否定することができず、かつ、対立する理論仮説がすべて棄却されていることをもって成立する
理論仮説と作業仮説は必ずしも2つに区分されるものではなく、抽象的なレベルの仮説から具体的なレベルの仮説にいたる連続的・多段階のものと考えたほうがよい。
また、理論仮説と作業仮説は1対1で対応しているものではない。おなじ理論仮説を検証するために複数の作業仮説がありうる。逆に、ひとつの作業仮説に複数の理論仮説が対応することもある。
いずれにせよ、理論仮説←→作業仮説の双方を往復する想像力が重要。
次回準備
自分が興味のある分野について、どのようなことを調査したいか、またそのためにはどのような質問項目が必要かを考えてくる。
文献
小林淳一・木村邦博 (編) (1991)『考える社会学』ミネルヴァ書房.
レイブ, C. A.・マーチ, J. G. (1991)『社会科学のためのモデル入門』(佐藤嘉倫ほか訳) ハーベスト社.
この授業のインデックス
|
関連するブログ記事
前回の授業
|
次回の授業
TANAKA Sigeto
History of this page:
- 2012-10-10:Created
- 2012-10-11:Minor corrections
This page is in Japanese only (encoded in accordance with MS-Kanji: "Shift JIS").