関西数理社会学研究会 (大阪大学人間科学部) 2000-07-15.田中 重人 (TANAKA Sigeto) (tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp)
日本政府の「男女共同参画社会」構想は、市場労働時間と育児の削減による男女間の仕事/家事負担の平等化をめざしている。 本報告では、この構想の実現可能性を検討する。
はじめに、この構想に関する公文書『男女共同参画ビジョン』(1996) を題材に、 この構想には男性はつねにフルタイム労働者であるという暗黙の前提があったことをあきらかにする。 この前提によって、標準的な市場労働時間が全男性に適用されることになるため、 男女間時間配分の実現可能な領域が制約される。
ついで、数値シミュレーションにより、この前提のもとで男女平等な時間配分が可能かどうか検討する。 使用するデータは1995年のNHK放送文化研究所「国民生活時間調査」による30代男女の仕事・家事の平均時間である。 シミュレーションの結果は、現行の構想のもとでは男女平等な時間配分は不可能であることを示している。。
最後に、これらの結果から、「男女共同参画社会」構想に3つの点で修正が加えられるべきことを主張する:
Created at 2000-07-12. Last updated at 2001-08-11. Sorry to be Japanese only (encoded in accordance with MS-KANJI: "Shift JIS").