[English] [β版] [田中の研究成果] [1995年SSM調査シリーズ]

高学歴化と性別分業

女性のフルタイム継続就業に対する学校教育の効果
田中 重人 (tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp)
盛山 和夫 + 今田 幸子 (編), 1998, 『1995年SSM調査シリーズ12: 女性のキャリア構造とその変化』 1995 SSM 調査研究会 (事務局: 東京大学文学部盛山和夫研究室): p. 1-16.

全文 [PDF 112KB]

※詳細は 下記「履歴」を ごらんください。

要旨

女性のフルタイム継続就業に対して学校教育が持つ影響力について論じる。 近代型の性別分業に関心を限定するため、家族経営型の自営業に属する女性はのぞいて分析する。 まず戦後日本社会における急激な高学歴化にもかかわらずフルタイム女性の比率が一定水準を保ってきた事実を、 1955-95年のセンサス・データから確認する。 ついで女性個人経歴データを分析する。 大卒女性は一見フルタイム継続率が高いようにみえるが、教員をのぞいた分析ではこの関連は消える。 上の関連は、教員というフルタイム継続しやすい特別な職業と大卒学歴とがむすびついているための 擬似的なものにすぎない。 大卒者数と教員数が独立だということから考えて、 高学歴化と女性フルタイム継続率の変化とは無関係と結論できる。 女性本人の職業的地位と結婚相手の職業的地位を統制したロジスティック回帰分析でも、学歴の効果はみられない。 分析結果から、学校教育はフルタイム継続就業に影響しないといえる。


キーワード: 性別役割意識 (gender ideology), 人的資本 (human capital), 社会変動 (social change)

履歴

この論文の原型は、第47回関西社会学会大会 (1996年5月26日:倉敷芸術科学大学) でおこなった同名の報告です。

そのあと加筆して『社会学評論』誌に投稿しました。 その当時の原稿はβ版としてWWWでみることができます:

この段階までは、1985年データだけをつかっていました。

『社会学評論』査読者からの修正意見をふまえて1995年データの分析を追加し、 大幅に改稿したヴァージョンが同誌に掲載されました (1997年)。

1995年データをくわえたことで分析結果がすこしちがってしまい、結論がトーンダウンしています。

そのあとさらに手を加えて『1995年SSM調査シリーズ』におさめたのが最終ヴァージョンです。 『社会学評論』版とのちがいは、つぎの諸点です:

報告書出版後、抜刷用の原稿をつくりました (1998-05-25)。 報告書原稿と完全に同一の出力ですが、末尾に「抜刷作成時の注記」と「目次」を追加してあります。 なお、原稿はA4サイズですが、報告書および抜刷ではこれをB5に縮小して印刷しました。

本論文の著作権は田中重人が所持しています。 論文の全部または一部を許可なく転載・配布することを禁じます。


最終版以降の文献補遺

文献にかかげた未公刊資料のうち、 1995年SSM調査研究会 [1996a] と 田中重人 [1998] は、『1995年SSM調査シリーズ』に収録されています: また Hirao [1997] の主要な部分は『日本労働研究雑誌』に掲載されています。

SSM 調査
SSM 調査シリーズ (全21巻)


田中 重人 (tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp)

Created: 2000-03-01. Updated: 2002-04-22.