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田中重人 (東北大学文学部准教授) 2016-10-11

現代日本論概論「現代日本における職業」

第1講 労働統計(1) さまざまな働きかた


[配布資料PDF版] [課題用紙PDF版]
[テーマ] 労働力調査の分類について

前回宿題について

総務省統計局『労働力調査年報』それぞれの年次の「第1表」あるいは「I-A-第1表」を見る。

「政府統計の総合窓口」 (http://www.e-stat.go.jp) 「労働力調査 > 基本集計 > 長期時系列データ」から「年平均結果」の「就業状態別15歳以上人口」をみてもよい。


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年次  | 15歳以上人口 |  労働力人口 | 労働力率 |   完全失業者数  |  完全失業率
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1982  |   9,116      |      5,774  |   63.3%  |             136 |   2.4%
2012  |  11,098      |      6,555  |   59.1%  |             285 |   4.3%
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(単位:10,000人)   「労働力率」は、報告書では「労働力人口比率」となっている

「労働力調査」は、国勢調査調査区 → 住戸の層化2段抽出で対象標本を抽出している。抽出された住戸に住む世帯の構成員全員について1枚の調査票に記入する。ただし集計は15歳以上の者についてだけ。調査は毎月おこなわれ、おなじ世帯が2か月間対象となる。 1992年から 光学読み取り (マークシート) 方式となった。

毎月の調査について報告書 (月報) が刊行される。 1年分 (1月から12月) についての平均をまとめた報告書 (年報) は年1回刊行。いずれも、標本による集計結果そのものではなく、母集団についての人数を推計した結果が表示されている。

かつては「労働力調査特別調査」が別の調査として存在した。 2002年からこれは労働力調査の本体に統合されて、「基礎調査」「特定調査」の2本立てとなった。現在では、労働力調査の標本の一部を使って、かつての特別調査と同様の内容が「特定調査」としておこなわれている。

東北大学附属図書館における統計資料の所在

「政府統計の総合窓口」 (http://www.e-stat.go.jp) あるいは総務省統計局 (http://www.stat.go.jp) のページにも情報はあるが、断片的でまとめて理解しにくい。調査の概要や方法について知るには、印刷体の報告書の解説 (報告書の巻頭または巻末にある) を読むのがいい。


今回の課題

「労働力調査」で使われている分類についての解説ページ (別途配布) を読み、わからない単語や文章を課題用紙左側に、そのあと調べたり相談してわかったことを右側に書く。左右の対応関係がわかるようにすること(矢印でむすぶ、番号を対応させるなど)。

余裕があれば、つぎのことについて考察する


労働力状態

労働統計における「労働」の定義は?

なぜ労働力人口が問題なのか?

国民所得とマクロ経済モデル

労働力調査の労働力人口以外の調査対象

労働時間、従業上の地位、職業、産業など

就業者の分類

個人の特性か企業の特性か

従業上の地位(employment status)

「家庭教師」はどこに分類されるか?

雇用契約と請負契約とのちがい、「労働者」性の問題

いわゆる「正規雇用」と「非正規雇用」のちがい

基本的に、雇用契約期間の定めがあるかどうかで区別する。ただし、1年を越える期間の契約で雇われている場合は「一般常雇」に入ってしまう。また、常時雇用の派遣労働者も区別できない。正確に把握するには、「特定調査」報告書をみる。

職業 (occupation)

おこなっている仕事の内容による分類

社会学の議論では、政府の標準的な職業分類を基礎にしながら、役職などを考慮して、独自の変更を加えたものを使っていることが多い。

国際的な比較には ISCO (国際標準職業分類) が使われている。

産業 (industry)

その企業がおこなっている事業の分類

さらに粗く、3つにまとめることがある。

経済発展による変化 → Pettyの法則、Clarkの法則、収斂理論

さらに、企業規模(企業全体での雇用者数で測定する)を問題にすることもある。


宿題

A4判用紙にまとめて、来週授業時に提出。

  1. 「賃金構造基本統計調査」(2012年) について、「所定内給与」と「所定労働時間」それぞれの平均を調べ、それらをもとに、所定内労働1時間あたりの平均賃金をもとめる。
  2. この調査について、報告書の解説を読み、調査方法のポイントをまとめる。
  3. この課題をどのような手順で調べたか。また調べる上で苦労した点をまとめる。

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