http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2014/statg/g150115.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2015-01-15
現代日本論演習/比較現代日本論研究演習III「実践的統計分析」
X1 によって X2 が決まり、それによって Y が影響を受けるという因果関係を考える。
X1 → X2 → Y
このとき、X1 は Y に直接影響を与えているのではなく、X2 が「媒介効果」をもたらしていることになる。
X1 が X2 と Y の両方に影響をもたらしているが、X2 は Y に対しては影響力を持たない場合を考える
X1 → X2 X1 → Y X2 Y
このとき、X1 を無視して X2 と Y だけの関連を分析すると、 X2 が Y に対して影響を与えているように見えるので、因果関係を見誤ることがある。このような現象を「疑似相関」という。
一般線形モデルのデータに対するあてはまりのよさをあらわすのが決定係数 $R^2$ である。これは相関比ηの2乗に等しいので、平方根をとれば、ηと同様の感覚で、「そのモデルによって、従属変数がどの程度説明できているか」を評価できる。
SPSSの出力では、「母集団においては決定係数がゼロである」(= どの独立変数も、従属変数に対して効果を持たない) という帰無仮説について検定を行った結果 (有意確率) が表示される。この結果が有意でなければ、モデル全体について説明力があるとはいえないことになる。
決定係数が有意であれば、モデル内の各独立変数の効果について解釈していく。
各変数にかかる係数については、「パラメータ推定値」の表に、95%信頼区間が表示される。このなかにゼロが含まれているかどうかで、5%水準で有意な効果があるかどうかを判断できる (有意確率の列をみて判断してもよい)。
ただし、SPSSは、固定因子については、その変数の中のいちばん大きい値のカテゴリーを「基準」としてあつかい、その基準と他のカテゴリーとの効果の差を係数として表示している。これらの効果全部 (たとえば5カテゴリの変数であれば、4つの効果があることになる) でどの程度従属変数に影響力を与えているかについては、「被験者間効果」として表示される分散分析表を見たほうがよい。
各独立変数の効果の大きさは、「被験者間効果の検定」の表の「平方和」の列に表示される。「修正総和」の行の数値が、従属変数の平方和 (分散×ケース数) である。各変数の行の平方和をこれで割ると、従属変数に対する相対的な影響力の大きさがわかる。
「オプション」の「推定周辺平均」「平均値の表示」に、カテゴリ別平均値を表示したい独立変数をえらぶ。
「主効果の比較」をチェックする(「Bonferroni」で信頼区間を調整)と、どのカテゴリ間に有意な違いがあるかを比較できる。 (教科書 p. 205--207 「多重比較」の項参照)
「固定因子」に複数の変数を指定した場合、それらのカテゴリのすべての組み合わせごとに効果が計算される。この効果を「相互作用効果」または「交互作用効果」(interaction effect) という。交互作用効果は、カテゴリーを表す変数同士の積であらわされる。
カテゴリ組合せを考慮しない、カテゴリによる従属変数への影響を「主効果」(main effect) という。通常の一般線形モデルでは、まず主効果を計算し、それで説明できない「残差」を交互作用効果として取り出す。
「モデル」で、各独立変数とそれらの交互作用効果のどれを使用するかを選ぶことができる。「主効果」だけのモデルや、逆に交互作用効果だけのモデルなども指定することができる。
一般線形モデルでは、欠損値は listwise で処理される。このため、多くの変数を投入すると、ケース数が小さくなるので注意。
適当な変数について、次の分析を一般線形モデルで行い、結果出力と解釈を提出 (ISTU で水曜正午まで)
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