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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2018-06-15
現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
第8講 記号などの用法
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
各種記号の機能と使うべき場所
中間レポートについて
- 来週木曜正午までに提出 (ISTU)
- 先週来られなかった人も、誰かに批評してもらうこと
草稿を読んでの注意点
- 登場する人物、事件、用語等とそれら互いの関係を、素材を読んでいない人にもわかるように説明する
- 素材を紹介する内容が、そのあとの批判にうまくつながるように
- 出典の記入位置 (鍵括弧の後、句点の前)
- 素材の内容と自分の意見の峻別
- 左端はそろえるのがふつう
- 行間
- 縦スペースの使いかた
- 改ページ位置
- セクションのレベルと見た目
- ページ番号
記号
教科書 (pp. 145--149)
- ナカグロ (・): (1) 同格の単語 (ふつう名詞) を並列する; (2) 欧語におけるスペースの代用
- 斜線 (/): → 「または」
- コロン (:) → 表の注釈などで、見出しとして使う
- ダッシ ()
- 三点リーダー (……): 省略するときに使う (2つ続けるのがふつう)
- キッコー 〔 〕 (文献参照のところで説明)
- (1重) 鍵括弧 「 」: (1) 重要用語の初出・定義; (2) 通常と異なる意味でことばを使うとき; (3) 会話や引用; (4) 論文表題 (文献参照のところで説明)
- 2重鍵括弧 『』: 書籍・雑誌の表題 (文献参照のところで説明)
- 疑問符 (?) と感嘆符 (!): 直後にスペースを忘れないこと
表記の統一
自分なりのルールを決めてファイルに残していくとよい。
校正 (proofreading) の方法
自分が書いた文章を自分で校正する場合、何が書いてあるかがわかっているため、ふつうに読むだけだと、誤字などを見逃してしまう。まちがいを確実にみつけるには、意識的に「ふつうでない」読みかたをする必要がある。
- ざっとながめる、版面の配置や印刷の美しさを確認する、ページをぱらぱらめくって見る
- 文節ごと (または一定の文字数ごと) に区切って、文字を確認する
- 数字、記号、固有名詞などのチェック
- チェック済みのところに印を付けながら進める
- 音声読み上げ、他言語への翻訳など
校正作業に入る前に、しばらく原稿をみない時間を作り、内容についての記憶をできるだけうすれさせておくことがのぞましい。他人にチェックしてもらうのも有効。
課題
自分の中間レポート原稿を読んで、記号・表記・レイアウト・文字種類・余白などのおかしいところをチェックする (提出不要)。
箇条書き
例題
パーソナルスペースの初期の研究は、アラブ人、ラテンアメリカ人は北アメリカ人よりも短いパーソナルスペースを用いることや、ヨーロッパ人の中でもフランス人はイギリス人よりも長いパーソナルスペースを用い、さらに、オランダ人はそれらの2つの国民よりも長いパーソナルスペースを用いることを示している。
この文がわかりにくい原因は、並列の構造が複雑で、つかみにくいことにある。
- [対策1]
形式をそろえる (parallelism)
- [対策2]
区切りが目立つように、見た目を工夫する
箇条書きを利用して書きなおすと、次のようになる:
パーソナルスペースの初期の研究は、次のことを示している。
- 北アメリカ人は、アラブ人やラテンアメリカ人よりも長いパーソナルスペースを用いる
- フランス人は、イギリス人よりも長いパーソナルスペースを用いる
- オランダ人は、フランス人やイギリス人よりも長いパーソナルスペースを用いる
箇条書きの種類
箇条書きには次の3種類がある。
マーカーつき箇条書き
- 各項の先頭にマーカーをつける (適当な記号を選ぶこと)
- 前後をそれぞれ1行あける (ただしひとつの文中にふくまれている場合は、 入れないこともある。)
- 各項の 2行目以降は字下げする
- 全体を字下げすることもある
番号つき箇条書き
- 各項の頭に番号 (または a, b, c,... や ア, イ, ウ,... など ) をつける
- 番号を順番に増やしていく
- この番号を利用して参照することができる
- レイアウトはマーカーつき箇条書きとおなじ
見出しつき箇条書き
- [見出し]
各項の頭に適当な見出しをつける。見出しは太字にしたり、 [ ] でくくるなどして目立たせる
- [スペース]
見出しと項目内容との間には、スペース (全角または半角1文字程度) を入れる
- [レイアウト]
マーカーつき箇条書きとおなじ
- [その他]
見出しつき箇条書きは、1項のみで使ってもよい。 概念の定義や公理・定理などをわかりやすく示すことができる。
箇条書きの各項がひとつの文だけからなっている場合は、 最後に句点をつけない。項の中に複数の文を含む場合は、通常の文章と同様に、句点をつける。
番号つき箇条書きについては、改行せずに文中にくくりこむかたちで使うことがある。教科書 pp. 140--142 参照。
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