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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2019-05-31
現代日本学演習I「質問紙調査の基礎」
第5講 質問文と回答欄
[配布資料PDF版]
[課題用紙PDF版]
- [テーマ]
質問文作成にあたって気を付けること
課題
つぎの各項目についてたずねる質問文 (および回答欄) を考える。調査対象としては、東北大学の日本人学生を想定すること。
- 出身地 (言語使用についての分析に使う目的で)
- 授業スタイルに関する好み
- 外国語会話に関する苦手意識
- 自分の家族とのコミュニケーションの頻度
- 1日の時間の使いかた
質問文作成上の注意
用語について
- 明確な質問
- 日常的なことばで
- ステレオタイプ的な表現を避ける
文章について
- Double-barreled question を避ける → ひとつの質問ではひとつの事柄だけを聞く
- 短く、意味のつかみやすい文章に
- 誘導尋問を避ける
- 黙従傾向に注意
質問のタイプ
- 個人的質問 vs. 一般的質問
- 意識 vs. 実態
- actual status vs. usual status
- 単一質問 vs. 複数質問群
いろいろな回答形式
自由回答とアフターコード
回答欄に自由に答えを書いてもらい、あとで値をあたえる (after-coding)。回答の予想がつかない場合、選択肢が多すぎる場合 (職業など)、数値をそのまま記入してもらう場合 (年齢など) に有効
自由回答の利点:
- 多面的な把握が可能
- 詳細な情報が得られる
- 誘導尋問になりにくい
- 回答者が不満を感じにくい
自由回答の欠点:
- 回答者の負担が大きい
- さまざまな次元の回答が混入する可能性
- 回答が標準化できない
回答選択肢 (プリコード)
あらかじめ回答の種類を制限して、値をあたえておく (pre-coding)。
- ひとつの準拠枠に沿って標準化した反応が引き出せる
- 回答者の負担がすくない
- 想定外の反応を抑制してしまう
「その他」などの選択肢を設けて、一部自由回答を併用することもできる。
プリコードの場合の注意事項
- ひとつだけ選択 (single answer) か複数選択 (multiple answer) か
- ありうる回答を網羅しているか?
- 選択肢は相互に排他的か?
- 間隔尺度としてあつかうには、最低限4つの選択肢が必要
- 選択肢が多すぎると回答者の負担が大きい (7つ以下がいちおうの目安)
- 不明・回答拒否を選択肢に入れるか?
- 選択肢のレイアウト
- 一対比較
宿題
自分の関心に沿って、質問項目を列挙してくる。完全な質問文になっていなくても、おおよそどのようなことを聞きたいかが書いてあればよい。
2部作成して次回持ってくること (1部は提出、もうひとつは授業で使用)。
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