http://tsigeto.info/2020/quesu/q200710.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2020-07-10
通常の社会調査では、ログイン不要で、回答者のメールアドレスなどは収集せず、送信後は編集不可にしておくのがよい
「プレゼンテーション」関連の設定
調査票のURLは「送信」を押すと得られる
Google Forms 画面上部のタブを「回答」に切り替えると、回答状況がみられる。
回答の全データを取得するには、次のどちらか
「印刷」で、フォーム全体を印刷できる。この機能を利用して、調査票をPDFファイルに保存することができる。
データの最初には、回答日付時刻が入っている。これとは別に、通し番号をあたえて、これで回答者を識別するとよい。
記入漏れ、不完全な回答、誤りなどを探して訂正する。可能であれば、再調査をおこなうこともある。訂正する際には、古いファイルを残して、いつどこを変えたのかをたどれるようにしておく。
論理的にありえない回答の組み合わせや、珍しい回答についても注意する。
記入漏れの非常に多いもの、内容の信頼性が低いものは無効とする。
この時点で有効回収率を計算する。
有効回収率 = 有効票数 / 配布票数
コンピュータでの分析のためには、データはすべて数値で表すのが便利である。回答を数値に変換するための対応表を「コード表」という。
コード表は、調査票作成と同時に作っておくとよい。ただし、調査後に自由回答のアフターコードなどを追加する場合や、データの内容をみて変数の配列を変えざるをえない場合もありえる。そのときには、コード表のほうも改訂する必要がある。
Google スプレッドシートなどのデータには回答選択肢がそのまま入っているので、それらを適切な値に変更する。
文章での回答を求めた場合や、選択肢に「その他」が入っていて具体的な内容を書いてもらった場合は、適切な数値 (code) を与える必要がある (アフターコード)。
既存のコードがある場合は、それを使えばよい。たとえば、都道府県・市町村コード、学校名コード、職業分類など。各省庁のサイトや日本工業規格 (JIS) などを探してみるとよい。
具体的な内容を見ないとコード自体が決められない場合は、つぎのようにする
通常の調査では、欠損値としては、無回答 (NA = No Answer) によるものと非該当 (対象外の質問) によるものがある。これ以外に、「わからない」(DK = Don't Know) やクリーニング段階で欠損値を与えたものなどについても別扱いにする場合がある。
Google Forms では、答えがなかった項目は、そのセルに何も入っていない状態になる。通常は、このままでも問題ない。
欠損値の種類を区別したい場合は、「9999」「9998」などの通常は出てこない値を入れておいて、それをSPSSで処理する際に「ユーザー欠損値」として指定するとよい。
「いくつでも ○ をつけてください」のような質問の回答は、ひとつの回答についてひとつ変数をつくり、つぎのような数値をあたえるのが通例である。
0と1にしておくと、そのまま合計 (=その項目を選択した人数) や平均 (=その項目を選択した人の比率) を使えるという利点がある。
ダウンロードしたデータを統計ソフトに読み込んで分析
統計分析の方法はこの授業の対象外
学位論文や通常の授業レポートは、報告書と雑誌論文の中間くらいか。
報告書はつぎのような役割を持つ (用途別にちがう版をつくることもある)。印刷した物を関係者に配布するほか、図書館に寄贈したり、インターネットで公開したりする。
調査の企画段階から、報告書作成のための予算・時間を見越しておくこと
文章で詳しく書いてもよいし、表の形式で簡潔にまとめてもよい。
「資料」には、通常、すべての変数 (ただしIDなどのケース別に固有の値のものは除く) について度数分布を表示する (巻末に「資料」などとして載せる)。カテゴリ数の多いものについては、適当な階級に分けてよい (たとえば、年齢を5歳刻みにするなど)。
度数分布表に載せる相対度数 (パーセンテージ) には、欠損値を含めて計算したものと、除いて計算したものがある。どちらを使ってもよい。ただし、どのくらいの欠損値が出ているかという情報は重要なので、欠損値の種類と数は必ず表に載せること。
報告書の中心部分には、データ分析をおこなった結果を載せる。調査をおこなうにあたっては、問題関心 (または仮説) があるはずなので、それにしたがって分析し、結論を出すことが望ましい。
分析結果をどのようなかたちで報告書に記述するかは、想定読者によって変わる
また、分析結果そのものの表示の仕方もいろいろである。
報告書は繰り返しコピーされることを念頭において作成する。網掛けやカラー印刷はなるべく使わないのがよい。グラフを使用する場合、細部まではっきり見えるかどうかに注意すること。 3次元 (3-D) グラフはわかりにくくなるので、使わないほうがよい。
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