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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2021-07-12
歴史的な説明を志向する場合、現実に存在する「福祉国家」と呼ばれる国家 (たとえばイギリス) が形成されてきた過程をたどって、何を実現してきたか (人権としての「社会権」の確立、公的扶助制度、社会保険制度、経済政策、労働市場規制、平等政策など)、何と差別化しようとしてきたか (自由放任主義、社会主義、ファシズムなど)を説明する。
機能的な条件を説明する場合には、辞書等の定義 (たとえば「国民に生存権を保障し、平等に福祉を分配する国家」(ブリタニカ国際大百科事典)) をもとにして、どのような条件を満たせば「福祉国家」といえるのかを考えるとよい。
出典を必ず書くこと。
近代化前半の資本主義社会では、自由競争が重視され、労働者の窮乏化が進む →マルクス主義的な階級観の土台
経済における国家の役割が増大し、「混合経済」と呼ばれる経済体制が確立する (Samuelson, 1974)。
20世紀後半には「福祉国家」化が進み、多くの国で医療保険・年金制度が整備される →基本的人権としての「社会権」の確立
近代化の後半局面では、階級による不平等は「目立たなく」なってくる
現在の階級論の中心は、階級構造それ自体ではなく、「機会の不平等」の探求に移っている →何を「個人の責任」とみなすかの政治的闘争
他方で、民族や性別といった「生得的」要因による不平等への関心が増大している →階級構造というよりは家族、教育、国家の問題
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