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田中重人 (東北大学文学部准教授) 2021-06-25

現代日本学演習II「統計分析の基礎」

第9講 分散分析


[配布資料PDF版]
[テーマ] 分散分析 (ANOVA) の考えかたと計算方法を理解する

前回課題について


PSPP「グループの平均」の表示桁数

PSPP (1.4.1) の「平均の比較」→「グループの平均」では、データセットの「Decimal」の設定値で小数値が丸められてしまう。

「一元配置分散分析」なら大丈夫:

出力の「分散分析」表の「群間」を「合計」で割って平方根をとると、相関比ηが求められる。


分散分析の考えかた

グループ別の平均値を当てはめて仮想の分散を求める分析法を「分散分析」(ANOVA:ANalysis Of VAriance) という。

相関比 (イータ) の性質:

大きさの評価基準は、Cramerの連関係数Vと同様。

なぜ相関比を求めると、平均値を比較していることになるのか?


課題

次のデータ (10人) について、分散分析を行なう

男性: 1, 2, 3, 3, 4
女性: 2, 3, 4, 4, 5

まず手計算 (またはスプレッドシート) で考えてみて、そのあと、PSPPにデータを入力して検算する。

  1. 全体の平均値とSDを求める
  2. 男女別の平均値を求める
  3. 男性の平均値×5人と女性の平均値×5人からなる仮想データを考えてSDを求める
  4. (3) のSDを (1) のSDで割ったものが相関比η

この相関比がなぜ「平均値の比較」の指標になるかを考えること。


相関比とエフェクトサイズの関係

相関比ηとエフェクトサイズESの間にはつぎの関係がある (n1, n2 は各グループの度数、N = n1 + n2 は全体の度数)。

ES2 = (η2 /(1−η2) ) × ( N2 / n1 n2 )

特に、2グループの度数が等しい (n1=n2) なら、この式は次のようになる。

ES2 = 4η2 /( 1−η2 )

(グループの度数が違えば、ESはこれより大きくなる)

さらに、ηがあまり大きくない (η<0.4 程度) 場合であれば、次のような単純な式で近似できる:


ES = 2η

モデルとデータの乖離

相関比ηは、モデルとデータの乖離を表した値と解釈できる


文献


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