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田中重人 (東北大学文学部教授)
2022-06-10
現代日本学演習I「質問紙調査の基礎」
第6講 調査票の構成
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
調査票全体の構成と質問の順番
調査票全体の様式
分量
調査対象者の負担や回答時間を考えて上限を決める。紙冊子の調査票であれば、多くても16ページくらいが限界。
Web調査票の場合、分割の仕方によって大きく変わるので、自分で答えてみてよく考えること。
セクションの設定
- 重要な部分が目立つよう工夫する。Google Forms ではフォントを変えるなどの手段がとりにくいので、質問文そのものや、セクションのタイトルや説明の文章などで工夫する
- ひとまとまりの質問項目を1ページ (セクション) におさめること
- 調査票全体のなかでの位置づけがわかるよう、「全○○問中×問目」などを表示することも考えるとよい (→下記「プレゼンテーション」)
1ページ目の様式
タイトル
- 調査の内容を的確に表すタイトルをつける。
- ただし、難解な語句や調査対象者の反発を招く表現は避ける
- 研究者向けのタイトルと調査対象者向けのタイトルを別にすることも多い
調査主体・連絡先
- 調査をおこなう主体と責任者名、所属、学年
- 住所・電話番号・メールアドレス (授業用の代表用アドレスを用意しておくので、それを使ってもよい)
あいさつ文
- 自己紹介
- 調査の目的や意義 (詳しく書くことで、回答者の動機づけの高まることが期待できる)
- 個人情報やプライバシーの保護について
- 結果の報告先や公表媒体
- 対象者の選定方法
調査票とは別に「あいさつ」を用意する場合もある。特に、回答者にメール等で依頼する場合は、そちらの文面も重要。
記入上の注意
自由回答の記入法、「わからない」ばあいにどうするかなど。
調査票の最後
- 終わりのあいさつを入れる
- 調査への感想や調査主体への意見を書く欄を設けることも多い
質問のならべかた
全体的な配列
答えやすいものを最初に、私生活に関するものを最後に。
- Face sheet (性別・年齢などの基本的な属性): ただしプライバシーに注意 (教科書 90--91ページ)
- 調査の中心的な項目 (意識など)
- 私生活に関する項目 (家族構成、収入など)
たがいに関連する項目や、回答対象者を限定する項目はならべて配置する。
- 前後にどういう項目がくるかによって、おなじ質問文でも回答が変わることがある (carry-over effect; 同化効果; 対比効果) → 教科書91--92ページ
回答上の指示
- 対象者を限定する場合: 太字にするなどして目立たせる (できればページの最上部に来るように工夫する)
- 非該当の対象者のジャンプ先 (通常は質問番号で指示するが、ページ数を付加する場合もある。矢印などで視覚的に誘導できるとわかりやすい) → 教科書 94ページ
Google Forms では回答によって次の質問を変える (ジャンプ先のセクションを指定する) ことができるので、それを使用するとよい。
質問番号と見出し
各項目には番号をつけ (問1, 問2, ... など)、その後に質問文をつづける。
質問番号の前に話題転換のための文を入れることがある
Google Forms の使いかた
基本機能
通常の社会調査では、ログイン不要で、回答者のメールアドレスなどは収集せず、送信後は編集不可にしておくのがよい
- メールアドレスは収集しない
- ログインは不要 (ユーザーを限定しない)
「プレゼンテーション」関連の設定
- 「別の回答を送信するためのリンク」は表示しない
- 「進行状況バー」を表示すると、調査票全体のなかのどのあたりを回答しているかわかるので、便利かもしれない
調査票のURLは「送信」を押すと得られる
- いきなりメールで送るのではなく、リンクのアイコンをいったん押して、フォームのリンクを取得するとよい
- 「URLを短縮」をチェックしておくと、短くなるので扱いやすい
やや高度な機能
- 「グリッド」形式
- セクションの活用
- 回答による枝分かれ
印刷
「印刷」で、フォーム全体を印刷できる。この機能を利用して、調査票をPDFファイルに保存することができる。
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