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ノルウェー・フィンランド調査の報告

田中 重人 <http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/>
(東北大学大学院文学研究科講師)
東北大学法学研究科COEニューズレター No. 5: p. 9 (2004)
Date: 2004-12-01
Full-text PDF: http://www.law.tohoku.ac.jp/gelapoc/jp/newslatter/vol_05.pdf (12 pages)
Back Numbers: http://www.law.tohoku.ac.jp/gelapoc/jp/newslatter/

 2004年10月10日から17日にかけて、せんだい男女共同参画財団による視察調査団とともに、ノルウェーとフィンランドを訪問した。調査の目的は、この両国における男女平等や仕事と家庭の両立施策の現実について、研究者や国・自治体・企業の担当者から聞き取り調査をおこなうことにあった。視察調査団は一般公募によってえらばれた市民をふくめて12名で構成され、市民のエンパワーメントとしての役割も持っている。

 ノルウェーでは、国立女性博物館と保育所1箇所を見学したほか、オスロ市議、ノルウェー労働党ポリティカル・アドヴァイザーと面談し、男女平等の現在の問題点やそれに対する政策について聞き取りをおこなった。

 フィンランドでは、ヘルシンキ市、健康福祉局のほか、企業 (製材・製紙業と銀行業の2社) を訪問した。フィンランドの男女平等法とそれを支える制度、そしてそれらの運用と現在議論されている改正案について意見交換をおこなった。また、ヘルシンキ市の平等委員会や各企業の担当者から、それぞれの従業員に対する男女平等や仕事と家庭の両立施策について聞き取りをおこなった。

 両国とも、北欧の男女平等「先進国」として知られているが、決して完全な平等を達成したわけではなく、残存する不平等(たとえば職種による男女比率の著しい偏り)を克服するための具体的・実効的な政策が議論の対象となっている。今回の調査では、これまであまり情報の伝わってこなかった、平等を具体化するための具体的なレベルでの制度や、企業・自治体等における平等計画について、さまざまな情報を得ることができた。日本は両国とは歴史的・政治的に大きくちがう状況にあるが、しかし個々の側面においては、共通する問題に直面していると感じることも多かった。今回の調査の知見をいかして、制度や考え方を単に直輸入するのではなく、日本社会に適合した平等政策を根付かせる可能性について研究を進めていきたい。


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