[Previous page]
[Next page]
http://tsigeto.info/2018/writing/w180427.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2018-04-27
現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
第3講 パラグラフ
[配布資料PDF版]
[課題用紙PDF版]
- [テーマ]
パラグラフを組み立てる
前回課題について
- 課題用紙に自分用のメモを書かないこと
- 奥付などに出版社の代表者名が書いてあることもあるが、それではなく、出版社の団体としての名称を載せる
- 出版年は漢数字や元号で書かれていることもあるが、文献表にのせるときは西暦の算用数字に統一する
- 雑誌名や出版社名が旧漢字である場合も、新漢字に直してよい
- 「論文種別」は明記されていないことも多い
- 論文が雑誌に掲載されるまでのプロセスを理解しておくこと
- 「論文目次」にはその論文の内部のセクション (章・節) を書く
- セクションのわけかたとセクション番号について(前回資料)
今回の課題
前回の授業で挙げたキーワードのうち、どれかひとつをえらび、それについて説明する4--6個のパラグラフを組み立てよ。
- 「主張」と「補足説明」を箇条書きで配列したものをつくる
- そのことばを聞いたことはあって、意味がぼんやりわかるが、くわしくはわからない、という人向けの説明をつくる
配布する小紙片を活用すること。
「パラグラフ」とは
「飛ばし読み」(skimming) できることの重要性。
各セクションの見出しは、skimming のための手がかりをあたえる。
- →
では、セクションの内部に関しては?
- Paragraph:
ひとつの topic (小主題) について記述する文の集まり。改行して、1字下げる (教科書 p. 62)。
ひとつのセクション内のパラグラフの数は、3−6個程度が目安。
- ひとつの主張に関する文をまとめてパラグラフをつくる
- そのパラグラフの主張を目立つ位置に書く
- パラグラフを適切な順序にならべる
主張と補足説明
パラグラフには、ひとつの主張とそれに関する補足説明群を盛り込む。
補足説明の種類
――――――――――――――――――
・具体例 ・詳細 ・言い換え
・抽象化 ・一般化 ・方法
・根拠づけ ・原因 ・結果
・評価 ・引用
・留保 ・例外 ・導入
・話題転換 ・予備知識 ・つけたし
――――――――――――――――――
- この分類は網羅的なものではない
- ひとつの情報が複数の分類にあてはまることもありえる
- 補足説明の種類は、「主張」との関連できまる
- 補足説明にさらに補足説明を追加することはしない (そういうことが必要になった場合は、パラグラフを分割するか、注を使う)
- 「つけたし」はなるべくつかわないこと
教科書 pp. 59--60 の例
[主張1] 積もった直後の雪はすきまだらけ
→ 詳細/言い換え: 密度が小さい
[主張2] 時間がたつとしまる
→ 予備知識: 雪の結晶は互いに接している
→ 詳細: 水蒸気が凝結して「氷の橋」ができる
→ 詳細: 結晶の突起から蒸発して、すきまやくびれに凝結が起こる
→ 詳細: 突起がなくなり、まるくなり、「氷の橋」が太くなる
→ 詳細/言い換え: 密度が増す
[主張3] 踏むとどうなるか
[主張4] 密度が大きくなる
→ 予備知識: 片足に全体重を掛けたときの圧力は約 240g重/cm2
→ 原因: 「氷の橋」と雪粒が破壊される
パラグラフの組み立てかた
- 主張を決める
- 関連して提示しなければならない情報をリストアップする。どんな読者を想定するかに注意。
- リストアップした情報を取捨選択
- 必要に応じてパラグラフを分割・統合・削除・追加する
- 注を活用することも考える
文章を書き始める前に、 紙の上で構成を考えること。
2つの段階を踏んで考えるとよい。
- 材料集め:
無秩序でよいので、思いついた/しらべた情報をメモしていく (教科書 pp. 25-29; 木村 1993, pp. 26-42)
- →
メモ帳を持ち歩く; 思考マップ, 想定読者との問答 (配布資料)
- 配列と構造化:
材料が集まったら、どの主張をどんな順序に並べるか、主張のそれぞれにどんな補足説明をつけるかを決める。この時点で、鍵になる用語を決め、 概念の定義をしておくとよい。
- →
構成表, スケッチ・ノート (教科書 pp. 52--54)
集めた材料のほとんどは捨てることになるのが普通である。
パラグラフの配列
起・承・転・結をわかりやすく配列して、ひとつのセクションをつくる。
- 起:
そのセクションのいちばんはじめのパラグラフ
- 承:
直前のパラグラフからの自然な展開
- 転:
直前のパラグラフからの逆接的な展開
- 結:
そこまでのパラグラフをまとめる
セクションは、通常、「起」ではじまり「結」で終わる。その間に、「承」「転」のパラグラフを必要に応じて配列する。ただし、「結」はない場合もある。「転」は逆接的な展開になるので、読み手に負担を与える。多用しないほうがよい。
宿題
今回の課題用紙は、提出せず、持ち帰ること。下記の宿題と一緒に、次回提出する。
- 今日作成したパラグラフ構成をもとにして、4--6パラグラフの文章を書く (→2部用意)
- できあがった文章について、今日の課題と同様に、主張と補足説明の配列を作成する
- 参考にした文献などの一覧
- 調査から執筆までの過程 (今日の課題を含む) について簡単にまとめる
コンピュータで作成して、印刷すること。
A4判用紙の表のみを使う。全ての用紙の上端に番号と氏名を書き、
綴じないで
次回提出。今日の課題用紙も、次回提出する。
提出するものとは別に、(1) の文章をもう1部 (つまり計2部) 用意してくること。次回は、この文章を受講者どうしで交換して、互いにコメントする。色ペンと国語辞書を持ってくること。
中間レポートについて
中間レポート課題
本・雑誌記事などを選び、それについて批評を書く
次の2点をふくんでいなければならない:
- 概要の紹介: 素材に書いてあることをまとめる。読んでいない人にもわかるように。一部だけの紹介でもよいが、その場合はそのことを明記する。
- 批判: データに照らして、または論理的に。
コンピュータで作成し、印刷したものを 6/8 授業時に2部提出。
様式は、 配布する見本を参考にすること。重要な点は次の通り。
- A4用紙を使い、縦置き、横書きとする
- 上下左右の余白を 2 cm 〜 3 cm あける
- 分量は2ページ以上
- 左上をホチキス止め
- 各ページの下端中央にページ番号をいれる
- 最初のページの上端に、種別、日付、表題、氏名、所属を書く
- 表題は、とりあげた素材の書誌情報がわかるようなものにする
- 適当なセクションに分割すること。各セクションには見出しと番号をつける。
- 素材から引用する場合にはページ数 (またはセクションの番号など) を明記
- 他の文献を参照するときも出典を明記すること
宿題 (5/10 (木) 正午まで)
各自が選んだ素材と、その素材をどういう観点から取り上げるかについて、簡単に説明する (A4サイズ 1枚)。他の受講者が読むことを考慮して素材を選ぶこと。コンピュータで作成し、
ISTU
のレポート機能を通じて提出。
- 履修登録済みの人は、「現代日本論基礎講読」の授業がみられるはず
- そうでない人は、「履修申請」をおこなうこと
- どうしても
ISTU
が使えない場合は、電子メールで提出してもよい
この授業のインデックス
|
関連するブログ記事
前回の授業
|
次回の授業
TANAKA Sigeto
History of this page:
- 2018-04-27 : Created
- 2018-04-27 : Minor corrections
This page is monolingual in Japanese (encoded in accordance with MS-Kanji: "Shift JIS").
Generated 2018-04-27 10:12 +0900 with
Plain2.
Copyright (c) 2018
TANAKA Sigeto