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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2018-05-25
現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
第5講 構文解析
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
文の構造を解析し、読みやすさの評価と改善方法を考える
今回の課題
各自のパラグラフ課題の文章から、いちばん複雑な文を選んで下線を引く。その文を構文解析したうえ、わかりやすく書き直す。
構文解析とは
- 文 (sentence):
文章のなかで、句点(またはピリオド)で区切られたひとまとまりの部分。
- 構文解析 (parsing):
文の構成要素同士の修飾関係を分析すること。
- 文節:
自立語ひとつに0個以上の付属語が接続したひとまとまり。ただし、付属語とは助詞および助動詞、自立語とはそれら以外の全品詞をさす。形式体言(こと・もの……)、形式用言(ある・いる・みる……)は自立語とみなす。さ行変格活用動詞はひとつの自立語とみなす(名詞に「する」がついたものとは考えない)。複合動詞や連語はひとつの自立語とみなす。
文節に切りわけてみよう
- さよならだけが人生だ。
- 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
- 係り受け:
文節間の修飾−被修飾関係。
例:
道を−歩く 月が−沈む 目で−見る
駅に−行く 家から−出る 早く−食べる
頭が−痛い 屋根より−高い
大きな−手 私の−本 すごく−大きい
- 構文木:
文節間の係り受け関係を図に表したもの。修飾する(係る)文節を左に、修飾される(受ける)文節を右において、係り受け関係を線で示す
例:これらの図を使って説明すると、学生は日本文における「主語」の不在をすんなりと理解してくれる。
構文木の、いちばん右の、枝分かれしていない部分を「根」(root) という。上の例でいうと、「理解してくれる」が根である。
- 並列構造:
文のなかに、文法上同格の要素が隣り合わせに配置されていることがある。このような場合、並列の要素を上下にならべ、四角で囲んで線で区分する。
例:調査は仙台と福島でおこなった。
例:私は○○を助手席に乗せ、車を走らせた。
単純な文
構文がある程度以上複雑になると、非常に読みづらくなる: 枝わかれが多い、枝が長い、並列構造のなかに複雑な枝わかれがある、枝の先に並列構造がある、係り受けや同格関係が確定できない、など。
- 対策:
余計な文節を削る、枝を切り落として独立させる、並列構造の中身を小さくする、読点などの記号を活用する、注や箇条書きや表を活用する。
宿題
自分自身の文の構文解析を完成させ、文を書き直す。
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