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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2019-07-05
現代日本学演習I「質問紙調査の基礎」
第9講 報告書の執筆
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
報告書の役割と書きかたを理解する
分析から報告まで
公表する媒体
学位論文や通常の授業レポートは、報告書と雑誌論文の中間くらいか。
報告書の役割
報告書はつぎのような役割を持つ (用途別にちがう版をつくることもある)。印刷した物を関係者に配布するほか、図書館に寄贈したり、インターネットで公開したりする。
- 協力者への結果報告
- 他の研究者との情報の共有
- 分析結果を利用して論文を書く場合の参照先
- データ・チェックの基礎資料
調査の企画段階から、報告書作成のための予算・時間を見越しておくこと
報告書の様式
調査の概要
- 背景
- 目的
- 調査の内容
- 調査主体 (場合によっては費用負担)
- 企画から調査票作成、予備調査、実施、分析までのスケジュールと内容
- 調査方法 (配布・記入・回収の過程をくわしく)
- 調査母集団と計画標本の抽出法
- 回収数、回収率、非回収の原因、基本的属性の分布
- 調査協力者
文章で詳しく書いてもよいし、表の形式で簡潔にまとめてもよい。
分析結果
- 分析結果の提示 (表または図)
- 分析結果の解釈 (文章)
- 提言など (報告書の目的による)
資料
- 調査票
- 単純集計 (度数分布表)
- あいさつ状など (あれば)
- 調査票をつくるうえで参考にした既存調査等の一覧
- コーディングやエディティングのルール
- コード表 (データを公開・共有する場合; データ分析用マニュアルとして、別に用意する場合もある)
「資料」には、通常、すべての変数 (ただしIDなどのケース別に固有の値のものは除く) について度数分布を表示する (巻末に「資料」などとして載せる)。カテゴリ数の多いものについては、適当な階級に分けてよい (たとえば、年齢を5歳刻みにするなど)。
度数分布表に載せる相対度数 (パーセンテージ) には、欠損値を含めて計算したものと、除いて計算したものがある。どちらを使ってもよい。ただし、どのくらいの欠損値が出ているかという情報は重要なので、欠損値の種類と数は必ず表に載せること。
報告書本文の分析
報告書の中心部分には、データ分析をおこなった結果を載せる。調査をおこなうにあたっては、問題関心 (または仮説) があるはずなので、それにしたがって分析し、結論を出すことが望ましい。
分析結果をどのようなかたちで報告書に記述するかは、想定読者によって変わる
- 分析結果だけを載せる (解釈しない)
- 分析結果 + 解釈
- 実証研究論文としての体裁をとったもの
- 政策提言や企画立案をおこなうもの
また、分析結果そのものの表示の仕方もいろいろである。
- 一般の読者相手であれば、表よりもグラフを多用して視覚的に訴えるのが望ましいことが多い。また、細かい技術的な情報は割愛して、結論がストレートにわかるようにする。
- 学術的なところで発表する場合には、表を利用して細かい数値をきちんと書く。技術的な情報を十分に書いておくこと (たとえばカテゴリーへの数値の与え方、欠損値の処理、統計的検定の方法など)
報告書は繰り返しコピーされることを念頭において作成する。網掛けやカラー印刷はなるべく使わないのがよい。グラフを使用する場合、細部まではっきり見えるかどうかに注意すること。
3次元 (3-D) グラフはわかりにくくなるので、使わないほうがよい。
この授業のレポート
- 締切:
8/14 (水) 17:00
- 提出先:
電子メールで提出 (tanakas2013 @tsigeto. info: かならず返信を確認すること)
- 内容:
調査報告書 (上記の (2) または (3) のかたちで分析結果を含めたもの。調査票や度数分布表などの資料もつける)
レポートは、9/5 以降に返却しますので、取りに来てください。
発表会
- 持ち時間は、それぞれ10分 (説明3分+質疑7分)。
- 配布資料を9人分作成してくること。
- 上記の「調査の概要」にあたる情報を必ず含めること
- 調査票そのものは配布資料に含めなくてよいが、コピーを2部用意しておくこと (発表中に回覧)
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