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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2019-10-15
現代日本学演習V「実践的統計分析」
第3講 統計的検定と検定力
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
区間推定、統計的検定と検定力、サンプルサイズ
平均値の差の推定
ふたつのグループで別々に信頼区間を求めた場合:
- 信頼区間が重なっていなければ、差があると結論できる
- 信頼区間が重なっていれば、差があるかの判断は困難 (「同時分布」を考慮しなければならない)
通常は、「グループ間の平均値の差」について、母集団における値の信頼区間を求める方法をとる。→ 前期第12講
統計的検定
復習:
- 平均値の差の検定の方法 (数式とSPSSコマンド)
- 「臨界値」はどうやって計算するか
- 「有意確率」の解釈
- 「有意な差がある」「有意な差がない」ことの意味
カイ2乗分布とF分布
推測統計手法で正規分布を使った推定・検定をおこなうことはあまり多くない。よく使うのは、正規分布を変形した t 分布、χ2分布、F分布である。いずれも「自由度」(degree of freedom: DF) と呼ばれるパラメータを持ち、それによって形が変わる。
- t 分布:
DFをひとつもつ (DF = ケース数 − 1)。正規分布に似た形をしているが、ちょっと幅が広い。自由度が増えると正規分布に接近していき、およそ DF>200 で標準正規分布とほぼ同じものになる。平均と分散の両方を推定・検定する場合に使う。
- χ2 分布:
クロス表の独立性の検定で使う。DFによって形が変わる (DFは行・列のカテゴリ数からそれぞれ1を引いて求める)
- F 分布:
分散分析 (η=0 を帰無仮説とした検定) で使う。DFをふたつもつ (カテゴリ数−1 と ケース数−1)
標準正規分布に従う変数の2乗は、DF = 1の χ2 分布に従う。
t 分布に従う変数の2乗は、第1DF = 1 の F 分布に従う。
検定力
「検定力」(power of a statistical test) とは…… 母集団における一定の大きさの関連をどれくらいの危険率で検出できるか
- →
標本の規模 (=ケース数) できまる
- →
○○ の差を危険率 xx% で検出するには、どれくらいのケース数が必要か?
信頼区間の幅がどれくらいになるかを、標本の規模を変化させて計算してみるとよい。
課題
検定力について、つぎの計算をせよ
- 母比率を ±10% の精度で推定するにはどれくらいのケース数が必要か。±5% なら?
- SD=1 である変数について、人数の等しいふたつのグループ間で平均値の差の区間推定をおこなう場合、信頼区間の幅を x 以下にするには、どれくらいのケース数が必要か。x の値を適当に設定して計算せよ。また、SD=0.5 の場合、SD=2 の場合はそれぞれどのようになるか。
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