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青木 博 (1981) 協議離婚について


このように、不受理申出の扱いは問題を内蔵した制度ではあるが、前述の如く、協議離婚の無効・取消は必ずしも容易ではないために、比較的広く国民に利用されているようであり、しかも女性側からの申し出が多く、昭和四四年度は七八・五%、四九年度は七七・九%が女性からの申出である15

この事実は、現在でもわが協議離婚の制度が、真の意味での協議になっていないことの証左以外の何ものでもない。 けっきょくは、今なお妻の地位が必ずしも夫と対等ではなく、明治以来定着した追い出し離婚に、この協議離婚の制度が利用されている事実を否定することはできない。 もちろん、女性の地位の向上は今後更に進むであろうし、そうなれば協議離婚制も理想的な方向へ向かうであろう。

離婚届不受理申出の制度が、問題はあるにしても、いまだに弱者の立場にあるといってよい妻の地位の保護に、ある程度の効果を発揮している16以上、存続の方向で更に検討を加えて行く必要があるものと思われる。

要は、離婚届という形式的には適式の届出そのものが実質的に適式であることを保障する手段を現行法が欠いている点に、問題の中心がある17といえよう。

-------- 注
(15) 〔省略〕
(16) 梶村太市「判例コンメンタール 民法IV 親族」二一三頁。
(17) 利谷信義 注釈民法 (21) 一〇三頁。

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p. 33-34
青木 博. "協議離婚について". 明治学院論叢: 法学研究 27[=317]: 1-40. {1981:09189858:27:1}


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Created: 2007-08-19. Updated: 2007-08-19.

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