(イ)審理事項の拡張 次に,厳密にいえば財産分与には含まれない請求を財産分与に含めて行うことはできるかという問題がある。この点に関しては,かつては,過去の婚姻費用請求は家庭裁判所の専属管轄に属するとされていたが(最判昭43・9・20民集22巻9号1938頁),最判昭53・11・14民集32巻8号1529頁百選〔66〕は.婚姻費用分担の状況を財産分与に際して勘案することができるという判断を示すに至った。なお,過去の子どもの養育費について,最判平9・4・10民集51巻4号1972頁重判平9民〔12〕は,将来の養育費は子の監護に関する処分(旧人訴15条1項,人訴32条1項)として離婚訴訟によって決しうるとした最判平元・12・11民集43巻12号1763頁百選〔5版〕〔17〕を前提として,これと同様に処理することが可能であるとしている。これは財産分与とは別の手続を念頭に置いた判決であるが.過去の養育費は婚姻費用の一部をなすと考えれば.婚姻費用として財産分与に含めて処理することも考えられるだろう。
--------
p. 160
{2010:9784641135673} 大村 敦志 (2010) 家族法. 有斐閣.
民集=『最高裁判所民事判例集』
その他、不明の事項は後で調べて追加Created: 2014-09-21. Updated: 2014-09-21.
This page contains Japanese encoded in accordance with MS-KANJI ("Shift_JIS").
Copyright (c) 2014 TANAKA Sigeto.