[English] [BJS Tohoku Branch] [TANAKA Sigeto]
科学研究費補助金 (基盤研究(B) 2011年度〜2014年度) 研究課題番号:23330153
代表者:田中重人 (東北大学)
本研究の目的は、日本社会学会が作成している「社会学文献情報データベース」およびその利用者が参加するSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を基盤とし、下記3つの社会学的課題を追求することを通じて、研究者コミュニティ(社会学関連分野の研究者および社会学関連分野に関心をもつ学生・市民から成るコミュニティ)の再創造をおこなうことである。
学術データベースは、学会大会や学会誌と並んで、研究成果の公開・共有の場である。一般に学会という研究者集団が、学問研究を目的として結成されたアソシエーションであると同時に、研究者のコミュニティでもあるという認識に基づけば、データベースも学会大会や学会誌と同様に、学問研究のための手段であるのみならず、研究者コミュニティの基盤となるべきものでもあるはずである。データベースはこれらの中で最も歴史が浅いが、とりわけ過去の研究成果という学会が築いてきた知的遺産の集約・可視化・継承という役割を中心的に担う点において、研究者コミュニティの基盤としても固有の重要性をもつと考えられる(「社会学文献情報データベース」は、その発足以前の過去の文献についても遡及的に収録をおこなっている)。
現在では国立情報学研究所や各大学・研究機関等が多様な分野をカバーする学術データベースを作成・提供しており、研究支援機能の強化が図られているが、その一方で、データベースの構築・運用は一部専門家の手に委ねられ、多くの研究者は情報の利用者・消費者にとどまる傾向も強まっている。こうした傾向は、研究者が共有資源としての知的遺産へのコミットメントを喪失し、研究者コミュニティの基盤が脆弱化していくことにもつながりかねない(このような傾向は、「社会学文献情報データベース」においても、学会員の自己申告による文献情報登録が減少傾向にあるという事実などから窺われる)。
以上のような問題意識から、本研究の代表者・分担者は、「社会学文献情報データベース」を基盤として、研究者コミュニティの再創造を図ることの必要性を認識するに至った。そのためには、データベース自体を抜本的に再構築すると同時に、その利用者が主体的・自発的に参加しうるコミュニケーション空間としてSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を構築し、本データベースについての利用者の意見を反映させるのみならず、利用者相互の情報共有・意見交換・知的刺激の交換を活性化させることにより、コミュニティの再創造の新たな基盤とすることが有効であると考えた。
東北大学 / 文学部 / 日本語教育学 / 田中重人 / 「社会学文献情報データベース」東北大学サイト