[Previous page] [Next page]

URL: http://www.nik.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/writing/w040423.html
作成:田中重人 (講師) <tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp>

現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」(2004)

論文の基本形 (4/23)


1. 学術雑誌とは

前回のアンケート結果

学術雑誌の論文を読んだことがある: 6/31 人 (=19.4%)

でも、「学術雑誌」ってなに?

Peer Review 制度

論文を雑誌にのせる基準:

専門家の審査 (review) で決める。

審査の手順:

Peer Review 制雑誌は権威が高い

Peer Review 制雑誌の原著論文が論文の基本形 (教科書 p.196)


2. 論文の構成要素

(教科書 pp. 201−208)。 ※印の要素は、ない場合もある。

2.1. 表題その他

表題は内容を具体的に示すもの

所属は「東北大学…」から

日付を必ずいれる

2.2. 抄録 (abstract), キーワード

抄録 (要約) は抄録誌・データベース検索用 (教科書 p.32, 209)。この授業ではあつかわない

キーワードはデータベース検索用

2.3. 注 (note)

2.4. 文献表

文中で参照した文献をすべて掲げる。 本文中では、著者 (年号) の形式で参照する (文献表の番号で参照する方法もある)

2.5. 付録・資料・謝辞


3. 本文の階層構造

3.1. セクション

内容のまとまりをしめすために、 本文をいくつかのセクションに分割する。「章」「節」「項」などと呼ばれることもある。

セクションには番号と見出し (heading) をつける。表1のような 2種類の様式がつかわれている。

表 1.セクション番号の様式
1 第1章の見出し
1.1 第1章第1節の見出し
1.1.1 第1章第1節第1項の見出し
1.1.2 第1章第1節第2項の見出し
1.1.3 第1章第1節第3項の見出し
1.2 第1章第2節の見出し
1.3 第1章第3節の見出し
1.3.1 第1章第3節第1項の見出し
1.3.2 第1章第3節第2項の見出し
2 第2章の見出し
  ………………………………
1 第1章の見出し
(1) 第1章第1節の見出し
 (a) 第1章第1節a項の見出し
 (b) 第1章第1節b項の見出し
 (c) 第1章第1節c項の見出し
(2) 第1章第2節の見出し
(3) 第1章第3節の見出し
 (a) 第1章第3節a項の見出し
 (b) 第1章第3節b項の見出し
2 第2章の見出し
  …………………………………………

3.2. セクション見出しの役割

本文中での 形式上の位置づけを示す

形式的な見出し
  例:

    ・はじめに  ・問題の所在  ・先行研究
    ・仮説      ・データ      ・結果

そのセクションの内容について解釈枠組 (schema) を与える

実質的な見出し
  例:

    ・ ○○に関する研究動向  ・△△仮説
    ・ ◇◇調査の概要        ・××法による分析結果

3.3. 一般的形式

(教科書 pp. 34−41, 202− 205)

序論:

  1. 「読むべき」かどうかの判断材料
  2. 必要な予備知識の提供

本論:

内容にしたがってセクションに分割する。

基本的なかたち:

結び

  1. 本論のポイントをまとめる
  2. 将来の課題を述べる
結びのない場合もある

3.4. その他の基準

議論の対象によってわける場合
議論の水準 (抽象−具体) によってわける場合
  例(下に行くほど具体的になる):

     1. 理論                      6. 理論的考察

         ↓                        ↑

        2. 仮説                5. 仮説の検討

            ↓                  ↑

           3. データ  →   4. 分析結果
「事実」と「意見」(教科書7章) をできるだけ別のセクションに分ける

4. 課題

先週の宿題でつくった論文目次について、

書き換えたものを作ってくる。


5. 次回予告

次回は「パラグラフ」をあつかいます。教科書第4章 (pp. 58-74) を読んでおくこと。

また、次回の宿題で、ちょっとした作文を課します。 そのための準備として、つぎにあげることばのうち、 どれかひとつについて調べておいてください。

    ○コーパス              ○バリアフリー            ○ゲノム
    ○IP                    ○BSE                     ○質量分析
    ○FTA                   ○グローバリゼーション    ○著作権
    ○介護保険              ○形態素解析              ○クレオール
    ○フレックス・タイム    ○ユニバーサル・デザイン  ○ら抜き言葉

この授業のインデックス | 次回の授業

TANAKA Sigeto <mailto:tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp>


History of this page:


This page is in Japanese only (encoded in accordance with MS-Kanji: "Shift JIS").