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URL: http://www.nik.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/writing/w040507.html
作成:田中重人 (講師) <tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp>

現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」(2004)

第3回 パラグラフ (5/7)


1. パラグラフ

「飛ばし読み」(skimming) できることの重要性。

各セクションの見出しは、skimming のための手がかりをあたえる。

では、セクションの内部に関しては?

Paragraph: ひとつの topic (小主題) について記述する文の集まり。 改行して、1字下げる (教科書 p. 62)。

パラグラフ単位の書きかた:

ひとつのセクション内のパラグラフの数は、 3−6個程度が目安。


2. トピックとトピック関連情報

パラグラフには、ひとつのトピックとその関連情報群を盛り込む。

  トピック関連情報の種類:
    ――――――――――――――――――
    ・具体例   ・詳細    ・言い換え
    ・抽象化   ・一般化
    ・根拠づけ  ・原因    ・結果
    ・評価    ・引用
    ・留保    ・例外
    ・話題転換  ・予備知識  ・つけたし
    ――――――――――――――――――

教科書 pp. 59−60 の例:

[トピック1] 積もった直後の雪はすきまだらけ
抽象化: 密度が小さい
[トピック2] 時間がたつとしまる
予備知識: 雪の結晶は互いに接している
詳細: 水蒸気が凝結して「氷の橋」ができる
詳細: 結晶の突起から蒸発して、 すきまやくびれに凝結が起こる
詳細: 突起がなくなり、まるくなり、 「氷の橋」が太くなる
詳細/言い換え: 密度が増す
[トピック3] 踏むとどうなるか
[トピック4] 密度が大きくなる
予備知識: 片足に全体重を掛けたときの圧力は約 240g重/cm2
原因: 「氷の橋」と雪粒が破壊される

教科書 3.1.1節の4つのパラグラフについて、 上と同じような要約をつくってみよう。


3. パラグラフの配列

起・承・転・結をわかりやすく配列する。

起: そのセクションのいちばんはじめのパラグラフ
承: 直前のパラグラフからの自然な展開
転: 直前のパラグラフからの逆接的な展開
結: そこまでのパラグラフをまとめる

セクションは、通常、 「起」ではじまり「結」で終わる。その間に、 「承」「転」のパラグラフを必要に応じて配列する。ただし、 「結」はない場合もある。


4. パラグラフの内部構造

トピック・センテンス (topic sentence):
そのパラグラフのトピックについて概論的に述べた文 (教科書 p.62)。ひとつのパラグラフにひとつおく。
展開部:
トピック関連情報について述べた文の集合 (教科書 p. 68)。

トピック・センテンスは読み手に解釈枠組み (schema) をあたえるという点で、セクション見出しとおなじ機能を持つ。だから、 パラグラフ冒頭におくのが原則である。

しかし、 「話題転換」や「予備知識」などのトピック関連情報を先に示しておかなければならない場合は、パラグラフ冒頭にトピック・センテンスをおくことができない。その場合には、

のどちらかにおく。 これら以外の場所においてはならない

5. 宿題

つぎにあげることばのうち、どれかひとつをえらび、それについて説明する 4-6個のパラグラフを組み立てよ。

    ――――――――――――――――――――――――――――――――
    ○コーパス       ○バリアフリー      ○ゲノム
    ○IP          ○BSE           ○質量分析
    ○FTA          ○グローバリゼーション  ○著作権
    ○介護保険       ○形態素解析       ○クレオール
    ○フレックス・タイム  ○ユニバーサル・デザイン ○ら抜き言葉
    ――――――――――――――――――――――――――――――――

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TANAKA Sigeto <mailto:tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp>


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