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http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/family/f130517.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
現代日本論概論「現代日本における家族」2013年度
第5講 法律情報の調べかた (5/17)
[配布資料PDF版]
前回宿題について
「ハーグ条約」全文の所在:
予備知識:
- 2国間条約と多国間条約
- 国内法における条約の位置づけと自動執行性
重要な条文:
- 第2条:
締約国は、自国の領域内においてこの条約の目的の実現を確保するため、全ての適当な措置をとる。このため、締約国は、利用可能な手続のうち最も迅速なものを用いる。
- 第3条:
子の連れ去り又は留置は、次のa及びbに該当する場合には、不法とする。/a 当該連れ去り又は留置の直前に当該子が常居所を有していた国の法令に基づいて個人、施設又は他の機関が共同又は単独で有する監護の権利を侵害していること。/b 当該連れ去り若しくは留置の時にaに規定する監護の権利が共同若しくは単独で現実に行使されていたこと又は当該連れ去り若しくは留置がなかったならば当該権利が共同若しくは単独で現実に行使されていたであろうこと。〔……〕
- 第4条:
この条約は、監護の権利又は接触の権利が侵害される直前にいずれかの締約国に常居所を有していた子について適用する。この条約は、子が十六歳に達した場合には、適用しない。
- 第10条:
子が現に所在する国の中央当局は、当該子が任意に返還されるよう全ての適当な措置をとり、又はとらせる。
- 第13条:
前条の規定にかかわらず、要請を受けた国の司法当局又は行政当局は、子の返還に異議を申し立てる個人、施設又は他の機関が次のいずれかのことを証明する場合には、当該子の返還を命ずる義務を負わない。/a 子を監護していた個人、施設又は他の機関が、連れ去り若しくは留置の時に現実に監護の権利を行使していなかったこと、連れ去り若しくは留置の時以前にこれに同意していたこと又は連れ去り若しくは留置の後にこれを黙認したこと。/b 返還することによって子が心身に害悪を受け、又は他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険があること。/司法当局又は行政当局は、子が返還されることを拒み、かつ、その意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達していると認める場合には、当該子の返還を命ずることを拒むことができる。/司法当局又は行政当局は、この条に規定する状況について検討するに当たり、子の社会的背景に関する情報であって当該子の常居所の中央当局その他の権限のある当局により提供されるものを考慮に入れる。
- 第37条:
この条約は、ハーグ国際私法会議の第十四回会期の時に同会議の構成国であった国による署名のために開放しておく。この条約は、批准され、受諾され、又は承認されなければならない。批准書、受諾書又は承認書は、オランダ王国外務省に寄託する。
- 第38条:
その他の国は、この条約に加入することができる。/加入書は、オランダ王国外務省に寄託する。/この条約は、これに加入する国については、加入書の寄託の後三番目の月の初日に効力を生ずる。/加入は、加入国とその加入を受け入れる旨を宣言した締約国との間においてのみ効力を有する。いずれかの国の加入の後この条約を批准し、受諾し、又は承認する構成国は、その旨の宣言を行わなければならない。これらの宣言は、オランダ王国外務省に寄託するものとし、同省は、その認証謄本を外交上の経路を通じて各締約国に送付する。/この条約は、加入国とその加入を受け入れる旨を宣言した国との間においては、受け入れる旨の宣言の寄託の後三番目の月の初日に効力を生ずる。
- 第44条:
この条約は、前条第一項の規定に従って効力を生じた日から五年間効力を有する。その日以後にこの条約を批准し、受諾し、若しくは承認し、又はこれに加入する国についても、同様とする。/この条約は、廃棄されない限り、五年ごとに黙示的に更新される。/廃棄は、当該五年の期間が満了する少なくとも六箇月前にオランダ王国外務省に通告する。廃棄は、この条約が適用される領域又は領域内の地域のうち特定のものに限定して行うことができる。/廃棄は、これを通告した国についてのみ効力を生ずるものとし、その他の締約国については、この条約は、引き続き効力を有する
年表:
- 1980-10-25:
成立
- 2011-05-20:
日本政府、条約締結のための閣議決定
- 2013-03-15:
日本政府、条約締結と国内法整備のための法案を国会に提出 (法務省 2013)
- 2013-04-23:
衆議院で条約締結を承認
- 2013-05-09:
衆議院で「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律案」を可決
探す対象 (主として既存の国内法について)
- 法律の条文や立法・改正の経緯
- 判例
- 法解釈や判例に関する学説
法律そのもの
法律の名称と略称、法令番号について
- 例:
育児・介護休業法 = 1991年に「育児休業等に関する法律」(1991年法律第76号) として成立、5月15日に公布
改正法の仕組み → 「〇○を改正する法律」によるパッチワーク
- 例:
「育児休業等に関する法律の一部を改正する法律」(1995年法律第107号) → 題名を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に変更 (1995年6月9日)
改正法を「溶け込ませた」形の最新の条文が提供されている
立法・改正の経緯
判例
- 判例の原本は判決文そのもの → 各裁判所に保管
- 主要な判決を編集したものが公式判例集として刊行されている → 『最高裁判所民事判例集』など
- 主要な判決の抜粋を掲載する「判例誌」と呼ばれる雑誌がある → 『判例時報』『判例タイムズ』
- 法学の雑誌・書籍などには、判例の評釈や解説が多数掲載されている
学説
法律を解釈・適用するにあたってどのような考えかたが使われているか。
- →
その分野の入門書・概説書で、主要な考えかたとその変遷をおさえておく
- →
判例評釈は、過去の判例も踏まえて学説の動向をまとめてあることが多い
法学関連の文章では、判例や学説についての解説と著者個人の意見とが分離していないことが多いので、注意して読むこと。
データベース
東北大学では、2011年度から、「第一法規法情報総合データベース D1-Law.com」を購入している。東北大学キャンパス内のコンピュータからアクセス可能。
- →
https://www.d1-law.com/ip_login/
「現行法規 履歴検索」では、現在および過去の法律とその改正過程のほか、任意の一時点で有効な法律の条文を表示させることができる (2001年1月6日以降のみの模様)。
「判例体系」では、主要な判例集・判例誌に掲載された判例が検索できる。
参考文献
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