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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2013-12-06
現代日本論概論「現代日本における職業」 2013.12.6
第8講 社会階層と職業
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
階級・階層論の基本概念
中間試験について
配点は、15, 12, 8 (合計35点)
- 「内職」の定義
- 「無償労働」のイメージ
- 「特殊的人的資本」はどういう点で「特殊」か
課題
別紙 (橋本, 2003) で使われている「階級」の分類はどのような仕組みになっているか?
階層とは
- 社会的資源 (social resources):
人々の欲求の対象である希少な財
「希少」(scarce) とは、資源が全員に十分に行き渡るほどには存在しない状態を指す。
- (社会) 階層:
社会的資源の保有状況による人々の序列または区分
区分された個々のグループ (stratum) をさすことも、序列化・区分された状態そのもの (stratification) をさすこともある。後者の意味では「階層構造」または「成層」ということばを使うこともある。
序列の基準となる「社会的資源」は、いろんなものをふくみうる。ただし、実際の研究においては、職業的地位またはそれに付随して分配される社会的資源 (賃金や威信など) が重視されてきた。
- →
教育・職業の領域における競争と闘争
- →
家族や政府を通じて分配される社会的資源は?
階級とは
経済の仕組みから不平等を説明するのが「階級論」である。
- 生産手段 (means of production):
経済活動に使われる手段のうち、労働以外のもの
- 階級 (class):
生産手段の保有状況によって区分された階層
階級区分の基準として、生産手段や他者の労働などをコントロールする「権力」(power) を加味することもある。
- 資本家階級 (capitalist class):
- 旧中間階級 (old middle class):
- 労働者階級 (working class):
- (新中間階級) (new middle class):
実際の研究においては、「階層」とほぼ互換的に使われている。
- 従業上の地位
- 企業規模
- 役職
- 職業: blue-collar (manual labor) vs. white-collar (non-manual labor)
などを使用した種々の「階級分類」(または「階層分類」) が存在する。
社会移動とは
- 社会移動 (social mobility):
個人の人生を通じた階層間の移動
特に出身家族と学歴の影響が注目されてきた。
- →
個人の「地位達成過程」(status attainment process)
不平等問題の3つの次元
- 不平等の度合いそのもの → 貧困 (poverty) の問題
- 個々のシステムにおけるミクロな分配 → 差別 (discrimination)
- 社会全体でみた属性と分配 → 開放性 (openness)
文献
- 原純輔・盛山和夫 (1999)『社会階層: 豊かさの中の不平等』東京大学出版会.
- 橋本健二 (2003)「同・級・生の軌跡」犬塚先 (編)『新しい産業社会学』(改訂版) 有斐閣, pp. 169--194.
- 今田高俊 (1989)『社会階層と政治』(現代政治学叢書7) 東京大学出版会.
- 佐藤嘉倫・尾嶋史章 (編)(2011)『日本の階層社会 1: 格差と多様性』東京大学出版会.
- 盛山和夫・片瀬一男・神林博史・三輪哲 (2011)『日本の社会階層とそのメカニズム』白桃書房.
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