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http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/statg/g130703.html
田中重人 (東北大学文学部准教授) 2013-07-03

現代日本論演習/比較現代日本論研究演習I「統計分析入門」(2013)

第10講 平均値の比較 (7/3)


[配布資料PDF版]
[テーマ] グループ間で平均値を比較する方法

度数分布表のオプション

度数分布表の「統計量」オプションで「平均値」と「標準偏差」をチェック。

「記述統計」→「記述統計」でも出力できる。


順序尺度の変数の「平均値」

平均値は、本来は、間隔尺度以上の水準の変数にしか使えない。しかし、実際には、一定条件を満たせば、順序尺度についても平均値をとっていいとする基準が使われている。

具体的には、4点以上の尺度であって、正規分布に近似している場合 (教科書 p. 53--59)。これは、「偶然の積み重ねで形成されるものは正規分布にしたがう」という仮定による。

「正規分布に近似」しているかどうかは、通常、つぎの3点で判断する。

SPSSでヒストグラムを描いて検討するとよい。

「度数分布表」の「統計量」オプションで「歪度」「尖度」を指定すると、正規分布との乖離度を統計的に検討できる。これらの値は、正規分布のとき0をとり、絶対値が大きくなるほど、正規分布から外れる。およそ ±2 の範囲を超えていれば、正規分布からのずれが無視できない。

これらの条件を満たさない場合は非線形変換 (教科書 p.142--144) をおこなったり、順位に変換したりすることがある。あるいは、平均値を使わずに中央値を使って分析することもある。

なお、2値の変数は、この条件にかかわらず間隔尺度とみなしてよいが、一定以上のデータ数があり、あまり偏っていないことが必要。


平均値の欠点

平均値は「はずれ値」(outlier) の影響を受けやすい。あまりにかけはなれたケースがあるときは

などの方法を使うことがある。

また、極端なはずれ値がなくとも、左右非対称の分布の変数では、平均値より中央値の方が適切な代表値であることが多い。


ふたつのグループ間での平均値の比較

データをグループに分けて、それぞれ平均値 (=層別平均) を求め、それらの間の差をもとめる。この差の大きさを、標準偏差を基準にして評価する。具体的には、effect size (ES) または 相関比 (η:イータ) という統計量を使う。

エフェクト・サイズ

ES = (層別平均の差) / (併合SD)

併合SDの計算については教科書 p. 137 を参照。大雑把には、層別のSDの中間の値と考えてよい。

ESは、計算が簡単で直感的に把握しやすい。しかし、各グループの人数を考慮せず平均値だけ比較するため、グループの人数が大きくちがう場合でも、同じ人数に2等分されている場合でも、その間のちがいはESの値に反映しない。また、2グループ間の比較だけを行うものであるため、3つ以上のグループを比較するのにはつかえない。

相関比

SPSSコマンド

メニューの「分析」から「平均の比較」→「グループの平均」を開く。「オプション」の「第1層の統計」で「分散分析表とイータ」をチェックする。

イータ (η) は 0〜1の範囲の値をとり、独立変数の影響力をあらわす

ES はSPSSでは計算できない。


課題

  1. 適当な変数について、度数分布表・平均・標準偏差・尖度・歪度を出力。
  2. (1) の変数について、性別による平均値の比較をおこなう。イータも出力すること。
  3. ES を (手計算で) 求める。
  4. 性別でわけて度数ポリゴンを作成。
  5. これらの分析結果から何が言えるか、解釈を書く。

ISTU で来週火曜の正午までにファイル提出


期末レポート

期限: 8/16 (金) 17:00
提出先: ISTU 「期末レポート」にファイルを提出
内容: クロス表と平均値の比較の両方について適当な分析をして結果を解釈する。図・表は読みやすく整形し、論文としての体裁を整えること。授業で配布した以外のデータを使ってもよいが、その場合はデータについての解説をレポート中にふくめること。
備考: レポート提出後に、データのコピーをすべて消去すること。

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