http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/statg/g131225.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2013-12-25
現代日本論演習/比較現代日本論研究演習III「実践的統計分析」(2013)
一般線形モデルのデータに対するあてはまりのよさをあらわすのが決定係数 $R^2$ である。これは相関比ηの2乗に等しいので、平方根をとれば、ηと同様の感覚で、「そのモデルによって、従属変数がどの程度説明できているか」を評価できる。
SPSSの出力では、「母集団においては決定係数がゼロである」(= どの独立変数も、従属変数に対して効果を持たない) という帰無仮説について検定を行った結果 (有意確率) が表示される。この結果が有意でなければ、モデル全体について説明力があるとはいえないことになる。
決定係数が有意であれば、モデル内の各独立変数の効果について解釈していく。
各変数にかかる係数については、「パラメータ推定値」の表に、95%信頼区間が表示される。このなかにゼロが含まれているかどうかで、5%水準で有意な効果があるかどうかを判断できる (有意確率の列をみて判断してもよい)。
ただし、SPSSは、固定因子については、その変数の中のいちばん大きい値のカテゴリーを「基準」としてあつかい、その基準と他のカテゴリーとの効果の差を係数として表示している。これらの効果全部 (たとえば5カテゴリの変数であれば、4つの効果があることになる) でどの程度従属変数に影響力を与えているかについては、「被験者間効果」として表示される分散分析表を見たほうがよい。
各独立変数の効果の大きさは、「被験者間効果の検定」の表の「平方和」の列に表示される。「修正総和」の行の数値が、従属変数の平方和 (分散×ケース数) である。各変数の行の平方和をこれで割ると、従属変数に対する相対的な影響力の大きさがわかる。
X1 によって X2 が決まり、それによって Y が影響を受けるという因果関係を考える。
X1 → X2 → Y
このとき、X1 は Y に直接影響を与えているのではなく、X2 が「媒介効果」をもたらしていることになる。
X1 が X2 と Y の両方に影響をもたらしているが、X2 は Y に対しては影響力を持たない場合を考える
X1 → X2 X1 → Y X2 Y
このとき、X1 を無視して X2 と Y だけの関連を分析すると、 X2 が Y に対して影響を与えているように見えるので、因果関係を見誤ることがある。このような現象を「疑似相関」という。
自分の興味のある分野で、「媒介効果」と「疑似相関」の例をひとつずつ考えよ。 ISTUで 1/7(火) 正午までに提出。
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