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http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/writing/w130416.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)

現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」(2013)

第2講 論文の基本形 (4/16)


[配布資料PDF版] [課題用紙PDF版]
[今回のテーマ] 学術論文を構成する諸要素について理解する

課題について

今回の課題

各自用意した論文について、課題用紙に情報を整理する。教科書 (特に pp. 35--50 と pp. 196--213) および配布資料を適宜参照すること。また周囲の人と積極的に意見交換すること。

授業時間内課題についての注意事項

授業の前半と後半にそれぞれ課題作成のための時間を設ける。授業時間内に完成させて提出すること。課題用紙は表面だけを使う。裏面には何も書いてはならない。

きれいな読みやすい字で書く。ことばの誤用や誤字がないよう注意する。辞典を参照すること。

教科書と配布資料のほか、何でも参照してよい。ただし、何を参照したかをかならず書くこと。教科書については、参照したページを書く。

提出前にかならず誰かにみせて意見をもらう。相手の名前と意見の内容を用紙下部の該当欄に書く。

用紙下部「教員宛メッセージ」欄には、授業に関する感想・質問・意見などを書く (採点対象外)。

提出された課題用紙は、(たぶん) つぎの回に返却する。修正の指示がある場合は書きなおして再提出すること。修正の指示がないばあいも、書きなおして再提出してよい (採点結果には影響しない)。いずれの場合も、修正部分を色ペンで加筆する、あるいは書きなおし前のものと書きなおし後のものの両方を提出するなどして、どこをどう直したかがわかるようにしておくこと。

欠席・早退などで提出できなかった者は、後日提出してもよい (減点の対象になる)。なお、用紙は http://tsigeto.info/writing/w110520brd.pdf から入手できる。


論文の構成要素

「雑誌」(journal) は「定期刊行物」(periodical) ともいう。一定の間隔で出版され、終わりが予定されていない出版物のこと。通常、出版順に通し番号 (巻数または号数) をつける。年単位で「巻」(volume) を順番につけ、そのなかで「号」(number/issue) を区別していることも多い。

以上は教科書 pp. 201--208 から。 ※印の要素はない場合もある。

表題その他

表題または標題 (title) …… 論文の内容を具体的に示すもの (教科書 p. 201)。主な表題のあとに副題をつけることも多い。

雑誌によっては、論文原稿の受理 (あるいは掲載決定) 日付を載せている場合がある (教科書 p.202)。

抄録 (abstract), キーワード (keywords)

抄録 (要約) は抄録誌・データベース検索用 (教科書 p.32, 209)。この授業ではあつかわない。

キーワードはデータベース検索用。

注 (note)

「註」と書くこともある。

文献表 (bibliography/references)

文中で参照した文献をすべて掲げる。通常、論文の末尾に置く。本文中では、著者 (年号) の形式で参照することが多い (文献表の番号で参照したり個別にラベルをつける方法もある)

付録・資料・謝辞 (appendix, acknowledgement)


本文の階層構造

セクション (section)

内容のまとまりをしめすために、本文をいくつかのセクションに分割する。「章」「節」「項」などと呼ばれることもある。


                      表1.  セクション番号の様式
--------------------------------------------------------------------------
|1  第1章の見出し             | 1 第1章の見出し                        |
|1.1 第1章第1節の見出し        | (1) 第1章第1節の見出し                  |
|1.1.1 第1章第1節第1項の見出し |  (a)  第1章第1節a項の見出し          |
|1.1.2 第1章第1節第2項の見出し |  (b)  第1章第1節b項の見出し          |
|1.1.3 第1章第1節第3項の見出し |  (c)  第1章第1節c項の見出し          |
|1.2 第1章第2節の見出し        | (2)  第1章第2節の見出し                 |
|1.3 第1章第3節の見出し        | (3)  第1章第3節の見出し                 |
|2  第2章の見出し             | 2 第2章の見出し                        |
|  ………………………………  |   …………………………………………   |
--------------------------------------------------------------------------

セクションには番号と見出し (heading) をつける。表1のような2種類の様式がつかわれている。

セクション見出しの役割

形式上 の位置づけを示す形式的な見出しと、内容をあらわす実質的な見出しがある。

セクションの配列

(教科書 pp. 34--41, 202--205)

序論:

  1. 「読むべき」かどうかの判断材料
  2. 必要な予備知識の提供

本論:

内容にしたがってセクションに分割する。

実証研究の論文の場合は、つぎのようなかたちが基本:

結び (ない場合もある):

  1. 本論のポイントをまとめる
  2. 将来の課題を述べる

その他の基準

議論の水準 (抽象−具体) によってわけることが多い。「事実」と「意見」(教科書7章) をできるだけ別のセクションに分けるほうがよい。


閲読制度 (referee system)

論文を雑誌にのせる基準:

専門家の審査 (review) で決める。

この制度は、閲読, 審査, 査読, peer-review などとよばれる。閲読制雑誌の原著論文が論文の基本形である (教科書 p.196)。


次回予告

次回は「パラグラフ」をあつかいます。教科書第4章 (pp. 58--74) を読んでおくこと。

また、次回の授業中に、パラグラフを組み立てる練習をします。そのための準備として、つぎにあげることばのうち、どれかひとつについて調べておいてください。


    ○コーパス       ○バリアフリー      ○ら抜き言葉
    ○言語権        ○著作権         ○FTA
    ○労働者派遣事業    ○干支          ○ポライトネス
    ○α崩壊        ○透視図法        ○クレオール

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