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http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/writing/w130423.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
東北大学文学部 (2013年度) 現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
第3講 パラグラフ (4/23)
[配布資料PDF版]
[課題用紙PDF版]
- [今回のテーマ]
パラグラフを構成する
前回課題について
- 奥付などに出版社の代表者名が書いてあることもあるが、それではなく、出版社の団体としての名称を載せる
- 複数の団体が出版に関与していることがある (たとえば学会と出版社)
- 出版年は漢数字や元号で書かれていることもあるが、文献表にのせるときは西暦の算用数字に統一する
- 「論文種別」は明記されていないことも多い
- 論文が雑誌に掲載されるまでのプロセスを理解しておくことは、研究を進める上で不可欠
- セクション番号の振り方の種類について(前回資料)
今回の課題
前回の授業で挙げたキーワードのうち、どれかひとつをえらび、それについて説明する4-6個のパラグラフを組み立てよ。
- トピックと関連情報を箇条書きで配列したものをつくる
- そのことばを聞いたことはあって、意味がぼんやりわかるが、くわしくはわからない、という人向けの説明をつくること
「パラグラフ」とは
「飛ばし読み」(skimming) できることの重要性。
各セクションの見出しは、skimming のための手がかりをあたえる。
- →
では、セクションの内部に関しては?
- Paragraph:
ひとつの topic (小主題) について記述する文の集まり。改行して、1字下げる (教科書 p. 62)。
ひとつのセクション内のパラグラフの数は、3−6個程度が目安。
- ひとつのトピックに関する文をまとめてパラグラフをつくる
- そのパラグラフのトピックを目立つ位置に書く
- パラグラフを適切な順序にならべる
トピックとトピック関連情報
パラグラフには、ひとつのトピックとその関連情報群を盛り込む。
トピック関連情報の種類
――――――――――――――――――
・具体例 ・詳細 ・言い換え
・抽象化 ・一般化 ・方法
・根拠づけ ・原因 ・結果
・評価 ・引用
・留保 ・例外 ・導入
・話題転換 ・予備知識 ・つけたし
――――――――――――――――――
- この分類は網羅的なものではない
- ひとつの情報が複数の分類にあてはまることもありえる
- トピック関連情報の種類は、トピックとの関連できまる
- トピック関連情報にさらに関連情報を追加することはしない (そういうことが必要になった場合は、パラグラフを分割するか、注を使う)
- 「つけたし」はなるべくつかわないこと
教科書 pp. 59--60 の例
- [トピック1]
積もった直後の雪はすきまだらけ
- →
詳細/言い換え: 密度が小さい
- [トピック2]
時間がたつとしまる
- →
予備知識: 雪の結晶は互いに接している
- →
詳細: 水蒸気が凝結して「氷の橋」ができる
- →
詳細: 結晶の突起から蒸発して、すきまやくびれに凝結が起こる
- →
詳細: 突起がなくなり、まるくなり、「氷の橋」が太くなる
- →
詳細/言い換え: 密度が増す
- [トピック3]
踏むとどうなるか
- [トピック4]
密度が大きくなる
- →
予備知識: 片足に全体重を掛けたときの圧力は約 240g重/cm2
- →
原因: 「氷の橋」と雪粒が破壊される
パラグラフの組み立てかた
- トピックを決める
- 関連して提示しなければならない情報をリストアップする。どんな読者を想定するかに注意。
- リストアップした情報を取捨選択
- 必要に応じてパラグラフを分割・統合・削除・追加する
- 注を活用することも考える
文章を書き始める前に、 紙の上で構成を考えること。
2つの段階を踏んで考えるとよい。
- 材料集め:
無秩序でよいので、思いついた/しらべた情報をメモしていく (教科書 pp. 25-29; 木村 1993, pp. 26-42)
- →
メモ帳を持ち歩く; 思考マップ, 想定読者との問答 (配布資料)
- 配列と構造化:
材料が集まったら、どのトピックをどんな順序に並べるか、トピックのそれぞれにどんな関連情報をつけるかを決める。この時点で、鍵になる用語を決め、 概念の定義をしておくとよい。
- →
構成表, スケッチ・ノート (教科書 pp. 52--54)
集めた材料のほとんどは捨てることになるのが普通である。
パラグラフの配列
起・承・転・結をわかりやすく配列して、ひとつのセクションをつくる。
- 起:
そのセクションのいちばんはじめのパラグラフ
- 承:
直前のパラグラフからの自然な展開
- 転:
直前のパラグラフからの逆接的な展開
- 結:
そこまでのパラグラフをまとめる
セクションは、通常、「起」ではじまり「結」で終わる。その間に、「承」「転」のパラグラフを必要に応じて配列する。ただし、「結」はない場合もある。「転」は逆接的な展開になるので、読み手に負担を与える。多用しないほうがよい。
宿題
今回の課題用紙は、提出せず、持ち帰ること。下記の宿題と一緒に、次回提出する。
- 今日作成したパラグラフ構成をもとにして、4-6パラグラフの文章を書く (→2部用意すること)
- できあがった文章について、今日の課題と同様に、トピックと関連情報の配列を作成する
- 参考にした文献などの一覧
- 調査から執筆までの過程 (今日の課題を含む) について簡単にまとめる
コンピュータで作成して、印刷すること。
A4判用紙の表のみを使う。全ての用紙の上端に番号と氏名を書き、
綴じないで
次回提出。今日の課題用紙も、次回提出する。
提出するものとは別に、(1) の文章をもう1部用意してくること。次回は、この文章を受講者どうしで交換して、互いにコメントする。色ペンと国語辞書を持ってくること。
なお、中間レポート (なんでも批評) についての素材をそろそろ絞っておくのが望ましい (5/13 に執筆計画提出)。
文献
- 川喜田二郎 (1967)『発想法』中央公論社.
- 川喜田二郎 (1970)『続・発想法』中央公論社.
- 木村泉 (1993)『ワープロ作文技術』岩波書店.
- 大島弥生ほか (2005)『ピアで学ぶ大学生の日本語表現: プロセス重視のレポート作成』ひつじ書房.
- 梅棹忠夫 (1969)『知的生産の技術』岩波書店.
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TANAKA Sigeto
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