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田中重人 (東北大学文学部准教授)
東北大学文学部 (2013年度) 現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
第4講 文と文の接続 (5/7)
[配布資料PDF版]
[中間レポート見本PDF版]
- [今回のテーマ]
パラグラフの配列とその内部の文章を校正する
パラグラフの内部構造
- トピック・センテンス (topic sentence):
そのパラグラフのトピックについて概論的に述べた文 (教科書 p.62)。ひとつのパラグラフにひとつおく。
- 展開部:
トピックに関連する情報について述べた文の集合 (教科書 p. 68)。
トピック・センテンスは読み手に解釈枠組み (schema) をあたえるという点で、セクション見出しとおなじ機能を持つ。だから、パラグラフ冒頭におくのが原則である。しかし、「話題転換」や「予備知識」などの関連情報を先に示しておかなければならない場合は、パラグラフ冒頭にトピック・センテンスをおくことができない。その場合には、
- パラグラフの
2番目
の文
- パラグラフの
最後
の文
のどちらかにおく。
これら以外の場所においてはならない。
文をつなぐ表現
文と文のつなぎかたにはさまざまなものがある。 種々比較して、最適のものを選ぶこと。
- 論理的帰結: したがって,だから,すると,ゆえに,よって,以上のことから,そうとすれば...
- 動機: そこで,この目的のために,だから...
- 実際の結果: このために,そのため,結果として,こうして,結局,だから...
- 理由・原因: なぜなら,というのは,なんとなれば... / ...のだ。...からだ。
- 逆接: しかし,だが,ところが,にもかかわらず, とはいえ...
- 並列: かつ、また、同時に、そして...
- 対照: 一方,他方,逆に,これに対して...
- 類似: また,同様に,加えて, さらに...
- 留保: ただ,ただし,例外として...
- 例示: たとえば,〜を例にとると.../ すなわち...など
- 言い換え・要約: つまり,すなわち,いいかえると,換言すると,要するに... / ...のだ。...ということになる。
- 途中を省略: つまるところ,端的にいえば,一言でいうと,結局,要するに...
- 再確認: すでにみたように,上述のとおり...
- 焦点集中: 特に,なかでも,とりわけ...
- 情報追加: さらに,それだけでなく,このほか,なお...
- 仮定・条件: もし〜なら..., 〜という条件のもとでは...
- 話題転換: さて,ところで, では, つぎに...
- 順を追った説明: まず... つぎに... / 第1に... 第2に... 第3に... / ...そして, さらに /
文が自然に流れている場合には、つなぐためのことばはなくてもよい場合も多い。
今回の課題
宿題を交換して、互いにコメントする。
- 前回の相手とは別の人で、自分のとはちがうテーマで書いている人と交換すること
- まず、内容を読んで、気づいたことを書き込む
- わからないところ、直したほうがよいところについて、話し合ってみる
コメントは、「そのことばを聞いたことはあって、意味がぼんやりわかるが、くわしくはわからない」という人の立場を想定しておこなうこと。特に、情報の過不足、トピックの選び方のバランスに注意する。それ以外の点でも、気づいたことはすべて伝えること。
気づいたことを書き込む際は、校正記号 (教科書 p. 171) を参考にするとよい。書き込む内容によって、ペンを使い分ける。
- [訂正]
確実にまちがいであるもの
- →
赤ペンで訂正する
- [改善提案]
まちがいとは言い切れないが、「こうなおしたほうがよい」という個所
- →
その他の色ペンで
- [コメント]
内容がよくわからない個所、訂正の仕方がひととおりに絞れないもの
- →
黒ペン/鉛筆/シャープペンシルで
つぎの校正記号は、特に覚えておいたほうがいいもの:
- 「トル」
- 訂正/挿入
- 「イキ」
- パラグラフを分割する/くっつける (追い込み)
- 文章の前後を入れ替える
くわしくはつぎの本を参照:
その他のチェック・リスト:
- 想定読者の立場から見て、情報はじゅうぶんか
- 誤字・誤変換はないか
- 用語・表記が統一されているか
- 漢字で書くべきことばやひらがなで書くべきことば
- 文法上のあやまりはないか
- 句読点や括弧の使いかたは適切か
- 文を分割したほうがよいところはないか
- パラグラフの最初は改行して1字下げできているか
- トピック・センテンスの位置は適切か
- パラグラフの区切り方は適切か。もっと細かく分けるべきところ、逆にまとめるべきところはないか。
- パラグラフをならべる順序は適切か
- わかりにくい表現、あいまいな表現はないか
- 議論が飛躍しているところはないか
- とってしまったほうが意味がはっきりするようなことばはないか
- 指示語の指示対象は明確か
- 文章のどことどこがどう関連しているかがはっきりしているか
- 印刷レイアウト、余白、行間、文字種類など
宿題
コンピュータで作成し、5/13 (月) 12:00 までに ISTU のレポート機能を通じて提出。
- どのような点についてコメントをもらったか、また自分の文章の長所・短所について気がついたことをまとめる
- 自分がコメントする立場に立ってみての感想をまとめる
- 今日もらったコメントに基づいて、パラグラフを書き直す
- どこをどう書き直したか、またコメントがどのように役立ったかをまとめる
もらったコメントについてはすべて検討すること。ただし、すべてを受容しなければならないということではないので、判断は自分でおこなうこと。
また、次回授業の予習として、
- 教科書の第5章「文の構造と文章の流れ」を読んでおく
- 「文節」「係り受け」「重文」について調べておく
中間レポートについて
- 課題:
本・雑誌記事などを選び、それについて批評を書く
次の2点をふくんでいなければならない:
- 概要の紹介: 素材に書いてあることをまとめる。読んでいない人にもわかるように。一部だけの紹介でもよいが、その場合はそのことを明記する。
- 批判: データに照らして、または論理的に。
コンピュータで作成し、印刷したものを 5/28 授業時に2部提出。
【授業後に日付修正】
様式は、 配布する見本を参考にすること。重要な点は次の通り。
- A4用紙を使い、縦置き、横書きとする
- 上下左右の余白を 2 cm 〜 3 cm あける
- 分量は2ページ以上
- 左上をホチキス止め
- 各ページの下端中央にページ番号をいれる
- 最初のページの上端に、種別、日付、表題、氏名、所属を書く
- 表題は、とりあげた素材の書誌情報がわかるようなものにする
- 適当なセクションに分割すること。各セクションには見出しと番号をつける。
- 素材から引用する場合にはページ数 (またはセクションの番号など) を明記
- 他の文献を参照するときも出典を明記すること
5/13 (月) 12:00 までの宿題: 各自が選んだ素材と、その素材をどういう観点から取り上げるかについて、簡単に説明する (A4サイズ 1枚)。他の受講者が読むことを考慮して素材を選ぶこと。コンピュータで作成し、ISTU のレポート機能を通じて提出。
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