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URL: http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2012/family/f120615.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
東北大学 文学部「現代日本論概論」2012年度
第7講 人口と家族 (2): 結婚と出生 (6/15)
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
出生に関する人口指標
中間試験の返却と講評
- 設問に即した解答を書くこと
- プロセスや論理を飛躍なく説明すること
- 「嫡出子」とみなされることと「嫡出推定」を受けるかどうかは別
第3次ベビーブームはなぜ起こらなかったか
- 第1次ベビーブーム (1947--49年出生コーホート) → 「団塊の世代」
- 第2次ベビーブーム (1973年前後) → 「団塊の世代」の子供
- その子供は?
1970年代中頃の人口ピラミッド (別紙) と年齢別出生率のグラフを重ねて考えてみよう。
出生力 (fertility)
個人あるいはその集合体としての人口が産み出す出生の水準。
- ※
同様の用語として、「死力」「婚姻力」などがある
出生力を具体的に測定したものが各種の出生の指標 (普通出生率、総出生率、合計出生率など) である。
年齢構造の影響
人口に関するさまざまな属性の中でも、年齢は特別に重要な位置を占める。出生・死亡などの発生確率は年齢によっておおきくちがう。このため、年齢構造が変化すると、人口比でみた出生率や死亡率が変化する。この変化を除くためにさまざまな指標が考案されている。
- 平均寿命 …… 出生から死亡までの期間の長さの平均を求める
- 合計 (特殊) 出生率 …… 各年齢に1人ずつしかいない社会を仮定して出生数を求める
これらは、年齢別出生数や「生存数曲線」のグラフにおいてどのように表現できるか?
- 「合計出生率」(total fertility rate):
期間観察とコーホート観察のちがい
- 「完結出生児数」とは:
- 「完結出生力」とは:
- 「人口置換水準」とは:
第1次ベビーブームのコーホート (団塊の世代) とその子供のコーホート (1970年代前半出生) の出生力のちがい
婚姻と出生
現代日本社会では、婚姻外の出生 (非嫡出子) はきわめて少ない。
- →
法律上の婚姻が出生の事実上の前提になっていると考えることが多い
- →
婚姻内出生力 (有配偶者に限定して計算される)
- →
有配偶者に限定した完結出生児数
未婚化・晩婚化
1960年以降の女性の未婚率の上昇と1980年以降の男性の未婚率の上昇 (教科書 p. 88)
- 生涯未婚率とは:
(教科書 p. 84)
「平均初婚年齢」には2種類ある。
- 人口動態統計に基づくもの: その年に婚姻届を出した初婚夫婦のそれぞれの年齢の平均値
- SMAM (singulate mean age at first marriage): 未婚でいる期間の平均値。人口静態統計 (日本では国勢調査) の年齢別未婚率を使い、平均寿命と同様の方法で計算する。ただし、生涯 (ふつう50歳まで) 未婚の人口を除いて計算する。(教科書 p. 88 注1)
未婚化と出生力低下の関係ははっきりしない (コーホート観察のむずかしさ)。すくなくとも半分くらいは結婚の遅れが原因か?
宿題
附属図書館 (経済統計コーナーと2号館) 所蔵の資料から、つぎのことを調べる
- 「国勢調査」について:
2000年の人口ピラミッドを書くためのデータ
- 「人口動態統計」について:
2000年の合計出生率を計算するためのデータ
それぞれのデータについて、つぎのことをまとめる
- どの報告書のどの表をみればよいか (表番号とタイトル)。
- データはどのようにして収集・集計されているか。特に、国籍のちがいはどのように処理されているか。
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- 2012-06-13:Created
- 2012-06-14:Minor corrections
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