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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2014-07-04
現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
第12講 文献参照の種類と方法
[配布資料PDF版]
[出典表示の例 (PDF)]
- [テーマ]
文献参照の目的、方法、種類を理解する
文献同定作業について補足
文献引用の目的
- ●
出典の明示
- ●
読者が原典を入手して検討できるようにする
- ●
文献の紹介
つぎの事項は引用不要
- ★
一般的な常識や学問上の基礎知識
- ★
データの確認法が自明の場合
根拠や出典に関する疑問を感じさせる事柄を述べるときは、かならず出典を明示する
- 課題:
配布資料
を読み、文献引用の方法について理解する
文献引用の種類
- 直接引用:
(狭義の「引用」: quotation)原典の文章をそのまま書き写す。「インライン引用」と「ブロック引用」がある。
- 間接引用 (paraphrase):
原典の文章を変形/要約して示す。
- 参照 (reference):
原典の文章を示すのではなく、内容やデータなどを紹介するのみ。
いずれの場合も、引用の範囲がどこからどこまでかをはっきりさせること。また、出典を明示して、読者が確認できるようにしておかなければならない。
直接引用
- インライン引用:
引用範囲をかぎ括弧「」でくくる。引用する文章が比較的短い場合に使う。
- ブロック引用:
引用範囲の前後に空行を入れ、字下げして「ブロック」としてあつかう(「」を使わない)。長い文章 (4行以上?) を引用する場合に使う。
これらの形式で引用する場合は、一字一句たがえず正確に写さなければならない。
- 原典の誤りもそのまま写す → その個所には〔ママ〕と注記
- 文章の一部を省略するときは〔……〕を入れる (3点リーダ × 2)
- 原典にない言葉を補うときは〔 〕でくくる
- 太字や傍点で引用文の一部を強調できる → 引用文の後に「強調は引用者」と書く
ただし、つぎの場合は例外。
- 句読点の種類を本文とそろえる場合
- 縦書き/横書きの変換にともなう漢数字/アラビア数字の変換
- 原典の文字装飾や振り仮名を省略する場合
これら以外の場合は、原典どおり、正確に書き写す。
間接引用
原典の文章そのままではなく、変形/要約して示す場合を「間接引用」と呼ぶ。直接引用とはちがって、引用範囲を示す記号は使用せず、文章の中に織り込んでしまう。
- 自分の文章と引用部分との境界が明確になるよう文章を工夫する。ひとつの文全体またはパラグラフ全体が引用部分となるようにするのがいい。
- 出典の示し方は直接引用とおなじ。ただし原典全体の結論や要約を示す場合はページを省略していい。
著者年号方式による出典表示
通常、引用部分の直後に(著者,出版年,ページ)の形式で出典を表示する。別紙の文例を参照。
この研究によれば「……」(伊藤,1998,p. 75)である。
著者名を文中に入れて不自然でない場合は、著者(出版年,ページ)の形式で次のように書いてもいい:
伊藤(1998, p. 75)は「……」と述べている。
単一ページの場合は p. 複数ページの場合は pp. をつけること。論文末尾の「文献」セクションと照合すれば書誌情報がわかるようにしておく。
- 「ページ」のところは、位置特定がじゅうぶんできれば、ほかの種類の情報でもいい。たとえばセクション番号や条・項の番号(規則などの場合)など。
- 特別の出典表示法がある分野では、それにしたがってもいい。たとえば法律・判例・聖書など。
「孫引き」の問題
参考にした文献中で引用されている文献を参照したい場合は、
その原典にさかのぼって確認するのが原則
である。もちろん、原典が入手困難であったり、自分が読めない言語で書かれている場合などは、確認できないこともあるが、それ以外の場合には、必ず原典にあたること。
「文献」セクションは、自分が責任を持てる情報源を列挙するものである。原典に直接あたらなかった場合は、その原典を「文献」セクションに載せてはならない。
たとえば、論文Bのなかで論文Aの内容が紹介されているとする。その内容を引用したいが、もとの論文Aが入手できない。このような場合は、つぎのようにする。
- 論文Bだけを「文献」セクションに載せる。文献Aは載せない。
- 引用はBの責任によることを明示:「Bによれば、Aは〜と書いているそうだ」
- 論文Aについての情報が必要なら、本文または注に書く
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