離婚経験者の経済状況の性別格差
- 趨勢と規定要因
田中 重人
<http://tsigeto.info>
(東北大学)
第4回全国家族調査 (NFRJ18) 第2次報告書 第1巻 143−155頁 (2021-09)
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- URI: http://tsigeto.info/21b
- Title: 離婚経験者の経済状況の性別格差:趨勢と規定要因
- Author: 田中 重人 || TANAKA Sigeto
- Book:
夫婦関係
- Editor: 松田 茂樹 + 筒井 淳也 || MATSUDA Shigeki + TSUTSUI Junya
- Publisher: 日本家族社会学会 全国家族調査委員会 || NFRJ Committee, Japan Society of Family Sociiology
- Chapter: 10
- Series:
第4回全国家族調査 (NFRJ18) 第2次報告書
- Volume: 1
- Pages: 143-155
- Date: 2021
- Language: JPN
- Short URL:
http://tsigeto.info/21b
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要旨
結婚・離婚によって生じる男女間の経済的な格差とそれに関連する要因をあきらかにする。分析の対象はNFRJ18データであるが、NFRJ98, NFRJ03, NFRJ08データによる先行研究と比較可能な方法をとることにより、長期間の趨勢も記述する。分析の中心となるのは、等価所得である。主要な知見はつぎのとおり。(1) 等価所得は男性より女性のほうが低い。(2) この性別格差には、離婚経験者の間での格差が大きく寄与している。(3) 離婚経験者の性別格差は、2000年代前半までに縮小してきたように見えたが、その後再拡大している。(4) 離婚経験者の性別格差は、学歴、常時雇用、同居子、再婚の4つの要因で規定される。(5) これらの要因の効果は過去3回の調査データと共通であるが、NFRJ18分析結果では若干の変化がみられる。これらの知見は、現代日本社会において不平等をつくりだす制度としての結婚・離婚について論じる際、その基礎となるものである。
等価所得、ジェンダー、子供、労働、世帯
目次
1. 結婚・離婚と性別格差
2. 本研究の分析課題とデータ
3. 生活水準の性別格差と結婚の履歴
- 3.1. 等価所得の性別格差
- 3.2. 結婚の経歴と性別格差
4. 離婚後の経済格差の規定要因
- 4.1. 独立変数
- 4.2. 記述統計
- 4.3. 重回帰分析
5. 議論
- 5.1. 第1−3回調査との比較
- 5.2. 格差の要因
- 5.3. 結婚制度の逆機能
図表
- 図1. 離婚後の男女間経済格差を生み出す経路
- 表1. 性別と等価所得
- 表2. 性別と婚姻履歴
- 表3. 性別・婚姻履歴と等価所得
- 表4. 記述統計量 (離婚経験ありの者のみ)
- 表5. 等価世帯所得の重回帰分析
- 表6. 男女別にみた再婚と世帯構成の効果
文献
- 福田亘孝,2009,「配偶者との別れと再びの出会い:離別と死別, 再婚」藤見純子・西野理子編『現代日本人の家族: NFRJからみたその姿』有斐閣,72-84. {ISBN:9784641183704}
- 岩田正美,2005,「政策と貧困」岩田正美・西澤晃彦編『貧困と社会的排除』ミネルヴァ書房,15-41. {ISBN:4623041387}
- 神原文子,2006,「母子世帯の多くがなぜ貧困なのか?」『第2回家族についての全国調査 (NFRJ03) 第2次報告書No. 2』日本家族社会学会全国家族調査委員会,121-136. {NCID:BA77245977}
- 厚生省,1999,『人口動態社会経済面調査報告 平成9年度:離婚家庭の子ども』厚生統計協会. {NCID:BA83224778}
- 田辺繁子・大濱英子,1958,「協議離婚の実態調査」(特集 家事調停の科学化)『法律時報』334: 65-69. {1958:03873420:334:65}
- Tanaka Sigeto, 2008, "Career, family, and economic risks", 中井美樹・杉野勇編『2005年SSM調査シリーズ9: ライフコース・ライフスタイルから見た社会階層』2005年SSM調査研究会,21-33. {tsigeto:08c}
- Tanaka Sigeto, 2013, "Gender gap in equivalent household income after divorce", Tanaka Sigeto ed., A quantitative picture of contemporary Japanese families, Tohoku University Press, 321-350. {ISBN:9784861632266}
- 保田時男,2019,「NFRJ18データ ver.2.0」(NFRJ18研究会配布データ付属文書 2019年10月7日).
謝辞
本研究はJSPS科研費
JP17H01006
の助成を受けています。
NFRJ18
は日本家族社会学会・NFRJ18研究会(研究代表:田渕六郎)が企画・実施した調査で、本研究ではver.2.0データを利用しています。
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