http://tsigeto.info/2017/family/f170620.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2017-06-20
「国勢調査」は、日本に常住する者全員を対象とした調査。西暦年で5の倍数の年におこなわれる。世帯単位で記入するマークシートの調査票で情報を収集してきた。 2015年調査では、インターネットによる回答方式も併用。
男女別1歳刻みの人口の2015年のデータは、「政府統計の総合窓口 e-Stat」 <http://www.e-stat.go.jp> から
「CSV」ではコンマ区切り形式のデータ・ファイルがダウンロードできる。
「DB」では事項を指定して集計表を作成できる (かなり面倒)。
調査方法についての解説は http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/ からたどれる。国籍の扱いは http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/users-g/word1.htm 参照。
政府に提出される各種の届出 (出生届、死亡届、転出・転入届、出入国管理、婚姻届、離婚届……) にもとづいて集計・公表される。官庁の日常的な業務のなかで出てくるデータを集計したものなので、「業務統計」と呼ばれ、統計のために調査をおこなう「調査統計」と区別される。
母親の年齢 (1歳刻み) 別の出生数のデータは、厚生労働省『平成27年度人口動態統計 中巻』「出生」第7表「出生数,性・母の年齢(各歳)・出生順位・嫡出子−嫡出でない子別」からわかる。「政府統計の総合窓口 e-Stat」では、「人口動態調査」→「人口動態統計」→「確定数」→「出生」→「年次」→「2015年」の一覧から、「中巻」の7 (CSVファイルなどがダウンロードできる)。
ただし、分母にあたる年齢別女性人口のデータが『人口動態統計』中には出ていない (上巻巻末の付録第3表「性・年齢別人口」には5歳刻みのデータしかない)。おそらく、国勢調査の参考表「年齢・国籍不詳をあん分した人口」がいちばん近い。
なお、年齢別出生率の「公式」のデータとしては、国立社会保障・人口問題研究所 (2016)『人口問題研究』72(4), p. 363 <http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/sakuin/jinko/299.html> の表4 がいちばん正確な資料のようである (別紙)。
「国勢調査」は、国籍にかかわらず「日本に常住する者」全員を対象とした調査であり、基本的には全員分の人口データが集計されている。特に必要がある場合には、「外国人」と「日本人」を別に集計した表もある。
これに対して、「人口動態統計」で計算されている各種の人口指標は、「日本に居住する日本人」についてのものである。最近は、印刷される『人口動態統計』(3冊セット) には外国人のデータは載せられず、インターネットでのみ公表されている。
あまり言及されていなかった要因
「要因」の候補は多岐にわたる。当時の時代状況についての知識を駆使して想像してみること。また、原因と結果の間にあるメカニズムについて、筋の通った説明を試みること。大きくわけると、前近代から引き継いだ規範や制度 (イエや同族) によるものと、近代になってできた新しい家族制度 (「近代家族」と呼ばれる) によるものがある (教科書III, IV, V, VII)。
近代化 (modernization)
近代化する社会における前近代的セクターと近代的セクターの併存 (二重システム = dual system)
近代化が進展する途上を「前期近代」、社会のほぼ全体が近代化してしまったあとを「後期近代」と呼んで区別することがある。
近代以前の社会において家族が果たしてきた主要な社会的機能 (social function) としてはつぎのようなものがある。
近代化とともに、家族の機能は少なくなってきた (▼印のものが縮小)。この機能縮小の過程は、日本社会では、20世紀はじめごろから、都市部のサラリーマン層で進展した (教科書 p. 30)。日本社会全体にひろまるのは高度経済成長期 (1970年代ごろまでにほぼいきわたる)。
「近代家族」(modern family) の特徴 (教科書 p. 28) について、具体例をあげながら考察してみよう。
近代家族は、近代化に適応してできた合理性を持つ家族制度である。
他方、この制度にはさまざまな問題もある。「家族問題」とされる現象のほとんどは、近代家族の特徴に関係している
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