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田中重人 (東北大学文学部准教授) 2017-06-27

現代日本論概論「現代日本における家族」

第10講 家族の経済学


[配布資料PDF版] [課題用紙PDF版]
[テーマ] 経済学的な観点から家族と労働を把握する

今回の課題

別紙の生活時間の表 (田中, 2007) をみて、どのような特徴があるかを把握し、その背後にある原因について考える。


「家族の経済学」の枠組

伝統的な経済学は、「家計」(household) を単一の行為者としてあつかい、そのなかのメンバーの行動をほとんどあつかってこなかった (cf. 「企業」)。これに対して、生産・分配をおこなう集団としての家族の経済学的研究がおこなわれるようになったのは、最近の話である (Becker, 1965)。

家族の構成員が単一の「効用関数」(utility function) を持ち、より高い効用の実現に向けて資源を分配し、生産をおこなう。

1980年代に入って、ゲーム論 (game theory) を応用した家族研究がおこなわれるようになった。

家族の構成員が別々の「効用関数」を持ち、利己的に行動する。

「家族」であることの (現代における) 特徴は?

これらは、「近代家族」(modern family) の特徴と大きく重なる (教科書 p. 28)。


2種類の「労働」

経済学の理論においては、生産に投入されて交換可能な付加価値を生み出す活動を「労働」(work)、それ以外の活動を「余暇」(leisure) と呼ぶ。しかし、実証的な研究においては、企業でおこなわれる労働だけが「労働」としてあつかわれてきた。両者の食い違いにあたる部分を「アンペイド・ワーク」(unpaid work) と呼ぶ。

前者の典型的な例は雇用労働、後者の典型的な例が家事労働。各種の労働統計や経済統計 (GDPなど) で集計されているのは前者のみである (ただし、国民経済計算体系 (System of National Account: SNA) における「サテライト勘定」のように、家事労働を測定する試みはある)。

自営業主やその家族従業者としての労働は、通常は paid work としてカウントされている。ただし、unpaid work との境界ははっきりしないことが多い。


性別役割分業

家族は通常 paid work で得られる賃金と、家のなかで行われる unpaid work の両方を必要とする。誰がどちらをどれくらい行うか、また需要の変動にどのように対処するか?

家族の間の「分業」(division of labor) はなぜ起きるのか。

性別によって固定的に割り振られているのはなぜか?


課題再提出について

これまでの課題をまとめて、7/11 に提出。毎回の「授業時間内課題」のほか、宿題や、課題について自分で調べた資料をふくめてもよい。日付順にならべて表紙をつけ、上端を綴じること。現在の観点からみて内容を修正したい場合は、緑以外の色ペンで修正する。または、新たにA4判の用紙を用意して修正内容を書き、いっしょに綴じてもよい。課題再提出の際につける「表紙」は次回配布。または、 http://tsigeto.info/brdface.pdf から取得できる。

なお、7/11は2度目の進度確認課題を行う (なんでも持ち込み可)


文献


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