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田中重人 (東北大学文学部准教授) 2017-04-21

現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」

第3講 パラグラフ


[配布資料PDF版] [課題用紙PDF版]
[テーマ] パラグラフを組み立てる

前回課題について


今回の課題

前回の授業で挙げたキーワードのうち、どれかひとつをえらび、それについて説明する4--6個のパラグラフを組み立てよ。

配布する小紙片を活用すること。


「パラグラフ」とは

「飛ばし読み」(skimming) できることの重要性。

各セクションの見出しは、skimming のための手がかりをあたえる。

では、セクションの内部に関しては?
Paragraph: ひとつの topic (小主題) について記述する文の集まり。改行して、1字下げる (教科書 p. 62)。

ひとつのセクション内のパラグラフの数は、3−6個程度が目安。


主張と補足説明

パラグラフには、ひとつの主張とそれに関する補足説明群を盛り込む。

補足説明の種類


        ――――――――――――――――――
         ・具体例   ・詳細    ・言い換え
         ・抽象化   ・一般化   ・方法
         ・根拠づけ  ・原因    ・結果
         ・評価    ・引用
         ・留保    ・例外    ・導入
         ・話題転換  ・予備知識  ・つけたし
        ――――――――――――――――――

教科書 pp. 59--60 の例



[主張1] 積もった直後の雪はすきまだらけ 
        → 詳細/言い換え: 密度が小さい 

[主張2] 時間がたつとしまる 
        → 予備知識: 雪の結晶は互いに接している 
        → 詳細: 水蒸気が凝結して「氷の橋」ができる 
        → 詳細: 結晶の突起から蒸発して、すきまやくびれに凝結が起こる 
        → 詳細: 突起がなくなり、まるくなり、「氷の橋」が太くなる 
        → 詳細/言い換え: 密度が増す 

[主張3] 踏むとどうなるか 

[主張4] 密度が大きくなる 
        → 予備知識: 片足に全体重を掛けたときの圧力は約 240g重/cm2 
        → 原因: 「氷の橋」と雪粒が破壊される 

パラグラフの組み立てかた

文章を書き始める前に、 紙の上で構成を考えること。 2つの段階を踏んで考えるとよい。

材料集め: 無秩序でよいので、思いついた/しらべた情報をメモしていく (教科書 pp. 25-29; 木村 1993, pp. 26-42)
メモ帳を持ち歩く; 思考マップ, 想定読者との問答 (配布資料)
配列と構造化: 材料が集まったら、どの主張をどんな順序に並べるか、主張のそれぞれにどんな補足説明をつけるかを決める。この時点で、鍵になる用語を決め、 概念の定義をしておくとよい。
構成表, スケッチ・ノート (教科書 pp. 52--54)

集めた材料のほとんどは捨てることになるのが普通である。


パラグラフの配列

起・承・転・結をわかりやすく配列して、ひとつのセクションをつくる。

起: そのセクションのいちばんはじめのパラグラフ
承: 直前のパラグラフからの自然な展開
転: 直前のパラグラフからの逆接的な展開
結: そこまでのパラグラフをまとめる

セクションは、通常、「起」ではじまり「結」で終わる。その間に、「承」「転」のパラグラフを必要に応じて配列する。ただし、「結」はない場合もある。「転」は逆接的な展開になるので、読み手に負担を与える。多用しないほうがよい。


宿題

今回の課題用紙は、提出せず、持ち帰ること。下記の宿題と一緒に、次回提出する。

  1. 今日作成したパラグラフ構成をもとにして、4--6パラグラフの文章を書く (→2部用意)
  2. できあがった文章について、今日の課題と同様に、主張と補足説明の配列を作成する
  3. 参考にした文献などの一覧
  4. 調査から執筆までの過程 (今日の課題を含む) について簡単にまとめる

コンピュータで作成して、印刷すること。 A4判用紙の表のみを使う。全ての用紙の上端に番号と氏名を書き、 綴じないで 次回提出。今日の課題用紙も、次回提出する。

提出するものとは別に、(1) の文章をもう1部 (つまり計2部) 用意してくること。次回は、この文章を受講者どうしで交換して、互いにコメントする。色ペンと国語辞書を持ってくること。


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