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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2017-06-16
中間レポート (および自分がこれまでに書いた文章) をみなおして、今日の授業内容に照らして問題がないか点検する。問題になりそうな部分に下線を引いて番号を振り、どういう点で問題があるか、どう書き直せばよいかを書くこと。中間レポートそのものと、課題用紙を提出。
論文の文章では、おなじ概念は常におなじ言葉であらわす(いいかえてはいけない)。また、すこしでもちがいのある概念には、そのつどちがう用語をあてる。参照した文献中でこのルールが破られている場合でも、そのまま引用するのではなく、用語を統一したり、注釈を加えたりして、概念と用語の対応関係をあきらかにしておくこと。
真/偽の区別が意味を持つ命題であって、個人の主観から独立したもの
例:私は来週富士山に登る。 富士山には月見草が生えている。 つぎの授業は休講である。
事実は、究極的には、真であるか偽であるかのどちらかである。ただし実際には、さまざまな事情のために真偽がわからない場合がある。なお、真である事実を「真実」という。
例:私は富士山に登りたい。 私は富士山が好きだ。 富士山には月見草がよく似合う。 富士山は高い山である。
発言や文章が存在する(した)かどうかは、真/偽を判定できるから「事実」である(その発言や文章の中身には関係ない)。
例:太宰治は『富岳百景』で「富士には、月見草がよく似合う」と書いた。
事実について思考/推量/評価しているという現象は「意見」である。
例:今後も高齢化は続くだろう。 つぎの授業は休講だろう。 太宰治は『富岳百景』で「富士には、月見草がよく似合う」と書いているらしい。
以上は教科書での区分である。別の理解の仕方としては、
と考えてもよい。
事実と意見はできるかぎりわける。セクションまたはパラグラフのレベルでわけておくのがのぞましい (cf. 実証研究の論文の基本形)。最低限、事実を記述する文には意見を混ぜないこと。
○○の効果を識別するため、対象者を2群にわけて分析をおこなった。 ↓ 対象者を2群にわけて分析をおこなった。これは○○の効果を識別するためである。
論文の文章においては、できるかぎり確実性の高い客観的な事実に基づいて意見を組み立てることが重要である (教科書 pp. 114--117)。
事実についても意見についても、表現をぼかさず、はっきりと言い切ること (教科書 第6章)。
× ……といっても過言ではない。 × ……ではないかと考えられる。
推量の表現としては、「おそらく……である」や「……の可能性がある」などを使う。そのほか、確からしさの程度を異にするいろいろな表現があるので、よく吟味して使い分けること。推量の確からしさについて、具体的な根拠を示せればなおよい。
提出先はいずれもISTU。使えない場合は電子メールでもよい。レポート本体については、PDFファイルのみに限定する (中間レポートと同様)
期末レポートの構成は以下のとおり:
テーマは、各自の興味に則って決める。ただし、時間的な制約の中で、きちんと先行研究にあたった上でオリジナルな内容を盛り込めるテーマでなければならない。大きな研究につながるようなテーマの中で、できるだけ小さい範囲にしぼりこむのがよい (教科書 pp. 13--21)。
先行研究を探すには、詳しい人(教員や大学院生など)に聞くか、入門書・概説書を探すかして、基礎的な情報をまず仕入れるのが常道である。たとえば、その分野の常識的な知識、基本的な用語、既存の論争や学派の違いなど。この段階では、図書館よりは書店のほうに分がある。初学者・一般読者向けの雑誌がある分野では、そのバックナンバーに目を通すのもよい。
その上で、網羅的に文献を探してみること。解説書などの文献表から「芋づる」式に探したり、文献データベースを利用する。図書館のサービスを活用すること。
表題は、内容を具体的に示したものでなければならない。内容に関する情報を詳しく載せるほうがよいが、一方で短いほうがよいというトレードオフ関係がある。副題を活用するなどして、簡潔でわかりやすい表題を工夫する。
表題の例:
キーワードは、本来はデータベースでの検索用である。論文の内容を端的に表すことばを3--5個程度えらぶ(通常は、表題にふくまれていないことばをえらぶ)。
キーワードの例:
論文の末尾に「文献」というセクションを設け、論文で引用した文献 (2本以上) をそこにすべて掲げる。日本語教育学研究室の様式 (後日配布) にしたがうこと。
草稿を読んでコメントしてもらったり、内容に関する改善を助けてもらうなど、執筆にあたって便宜を図ってもらった人への謝辞を最後に書く。何について感謝するのかを明確に書くこと (教科書 p. 208)。必要なら、所属を括弧書きでつける
謝辞の例:
下記のような様式で構想報告書を作成し、7/13 (木) 正午までにISTUに提出。
氏名: 学年: 学籍番号: 1. 表題 (仮): 2. 目標規定文: 3. これまでに収集した資料の一覧: 4. 資料収集と執筆にあたっての問題点 (こういう文献がみつからない、など)
期末レポートを書くにあたって、構想報告書以降の執筆の経過をまとめる。
8/17 (木) 17:00 までにISTUに提出
次回は文献情報の利用法を取り上げます。
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