http://tsigeto.info/2018/occ/o181009.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2018-10-09
総務省統計局『労働力調査年報』それぞれの年次の「第1表」あるいは「I-A-第1表」を見る。
「政府統計の総合窓口」 (http://www.e-stat.go.jp) 「労働力調査 > 基本集計 > 長期時系列データ」から「年平均結果」の「就業状態別15歳以上人口」をみてもよい。
-------------------------------------------------------------------------- 年次 | 15歳以上人口 | 労働力人口 | 労働力率 | 完全失業者数 | 完全失業率 -------------------------------------------------------------------------- 1985 | 9,465 | 5,963 | 63.0% | 156 | 2.6% 2015 | 11,077 | 6,598 | 59.6% | 222 | 3.4% -------------------------------------------------------------------------- (単位:10,000人) 「労働力率」は、報告書では「労働力人口比率」となっている
「労働力調査」は、国勢調査調査区 → 住戸の層化2段抽出で対象標本を抽出している。抽出された住戸に住む世帯の構成員全員について1枚の調査票に記入する。ただし集計は15歳以上の者についてだけ。調査は毎月おこなわれ、おなじ世帯が2か月間対象となる。 1992年から 光学読み取り (マークシート) 方式となった。
毎月の調査について報告書 (月報) が刊行される。 1年分 (1月から12月) についての平均をまとめた報告書 (年報) は年1回刊行。いずれも、標本による集計結果そのものではなく、母集団についての人数を推計した結果が表示されている。
かつては「労働力調査特別調査」(1977--2001年) が別の調査として存在した。 2002年からこれは労働力調査の本体に統合されて、「基礎調査」「特定調査」の2本立てとなった。現在では、労働力調査の標本の一部を使って、かつての特別調査と同様の内容が「特定調査」としておこなわれている。
2013年から、調査票の内容が変更されている。以前は「特定調査」に含まれていた非正規雇用の分類や、労働契約期間に関する質問などが「基礎調査」に入るようになった。
東北大学附属図書館における統計資料の所在
「政府統計の総合窓口」 (http://www.e-stat.go.jp) あるいは総務省統計局 (http://www.stat.go.jp) のページにも情報はあるが、断片的でまとめて理解しにくい。調査の概要や方法について知るには、印刷体の報告書の解説 (報告書の巻頭または巻末にある) を読むのがいい。さらに詳しい情報や調査の歴史については、総務省統計局 (2015) などを参照。
「労働力調査」で使われている分類についての解説ページ (別途配布) を読み、わからない単語や文章を課題用紙左側に、そのあと調べたり相談してわかったことを右側に書く。左右の対応関係がわかるようにすること(矢印でむすぶ、番号を対応させるなど)。
余裕があれば、つぎのことについて考察する
労働統計における「労働」の定義は?
なぜ労働力人口が問題なのか?
労働力調査の労働力人口以外の調査対象
個人の特性か企業の特性か
「個人経営」とは何か?
いわゆる「正規雇用」と「非正規雇用」のちがい
おこなっている仕事の内容による分類
社会学の議論では、政府の標準的な職業分類を基礎にしながら、役職などを考慮して、独自の変更を加えたものを使っていることが多い。
国際的な比較には ISCO (国際標準職業分類) が使われている。
その企業がおこなっている事業の分類
さらに粗く、3つにまとめることがある。
経済発展による変化 → Pettyの法則、Clarkの法則、収斂理論
さらに、企業規模(企業全体での雇用者数で測定する)を問題にすることもある。
A4判用紙にまとめて、来週授業時に提出。
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