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田中重人 (東北大学文学部准教授) 2018-10-16

現代日本論概論「現代日本における職業」

第2講 労働統計(2):賃金と労働時間


[配布資料PDF版]
[テーマ] 賃金と労働時間の統計

前回宿題について

みるべき報告書と統計表、結果は次のとおり。

「政府統計の総合窓口」(e-stat) にもデータがある。


賃金の統計

賃金は、通常、事業所対象の調査で把握する。 ←世帯を抽出して個人の就業状態を調べる「労働力調査」との違い

賃金構造基本統計調査: 労働省→厚生労働省による。毎年実施され、 6月分 の給与その他の労働条件と労働者の属性 (性別・年齢・勤続年数・職業など) についての調査がおこなわれる。戦前から前身になる調査があった (鈴木, 1995)。1948年「個人別賃金調査」として開始。何回かの名称変更を経て、1965年に「賃金構造基本統計調査」となった。調査対象や調査方法が頻繁に変更されている。このため過去のデータとの比較には注意が必要。

以下は、現在の調査についての解説。『賃金センサス』の解説は非常にわかりにくいので、注意して読むこと。

「常用労働者」5人以上を雇用する事業所が対象。ただし、農林漁業や官公庁は含んでいない (1975年以前はサービス業も含んでいなかった)。

各事業所で、指示にしたがって労働者を抽出し、その人について調査票に記入する。集計は、通常、「常用労働者」のうちの「一般労働者」(短時間労働者以外の労働者) についておこなわれ、「短時間労働者」(所定労働時間または所定労働日が一般の労働者よりすくない労働者 =パートタイム労働者) の集計は別に表示されている。

『賃金センサス』には、賃金や労働時間の平均値が表示されている。賃金は右に長くすそを引いた分布 (対数正規分布) にしたがうので、平均値が中央値よりかなり高くなることに注意。


労働時間の統計

通勤時間や休憩時間は通常「労働時間」にふくめないことに注意。

事業所対象のもの

企業側は労働時間を正確に把握していない場合がある (裁量労働、在宅勤務、「サービス残業」など)

個人 (世帯) 対象のもの

個人に労働時間を尋ねる場合、在宅の仕事や副業もふくめる。


参考: 日本標準産業分類

賃金構造基本統計調査などで使っている産業分類 (大分類) は以下のとおり (総務省統計局, 2014)。

A: 農業, 林業
B: 漁業
C: 鉱業, 採石業, 砂利採取業
D: 建設業
E: 製造業
F: 電気・ガス・熱供給・水道業
G: 情報通信業
H: 運輸業, 郵便業
I: 卸売業, 小売業
J: 金融業, 保険業
K: 不動産業, 物品賃貸業
L: 学術研究, 専門・技術サービス業
M: 宿泊業, 飲食サービス業
N: 生活関連サービス業, 娯楽業
O: 教育, 学習支援業
P: 医療, 福祉
Q: 複合サービス業
R: サービス業(他に分類されないもの)
S: 公務(他に分類されるものを除く)
T: 分類不能の産業

次回までの課題

厚生労働省 (2017) を読んでおくこと。


文献


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