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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2019-12-20
現代日本学演習IV「調査的面接の基礎」
第8講 調査的面接の倫理
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
学術倫理に関する問題と面接調査の特徴
学術倫理の3つの側面
- 研究対象に対する問題:
対象者に対するインフォームド・コンセント、個人情報の管理、成果のフィードバック
- 学術共同体内での問題:
データの捏造、改竄、アイデアの盗用、ギフト・オーサーシップ
- 研究成果の応用に関する問題:
公表した研究成果やそれに基づく提言がどのような結果をもたらすか
研究対象への配慮
- 調査の目的、データの利用範囲、公表方法などを十分に説明して同意を得る
(→ 第5講 資料)
。特に、「話さない権利」と「録音されない権利」について
- 個人が特定できるデータが流出する危険を最小にする (トランスクリプトにおける固有名のあつかい、録音データの管理)。機密レベルによってデータを区分しておくこと
- 公表するデータの中に、個人情報が入り込まないように。公表前に対象者自身によるチェックを入れるのがよい
- 東北大学文学部では、調査・実験倫理委員会を組織しており、調査や実験の計画を事前に提出して許可を得なければならないことになっている
<http://www2.sal.tohoku.ac.jp/rinri/>
(学生が指導教員の指導を受けておこなうものは対象外)。
- 学会等では、所属機関の許可を得た証明がないと学会報告や論文投稿ができない場合がある
- 可能であれば、研究の成果を対象者にフィードバックする方法を考える
- 終了後のデータの保管/廃棄
調査的面接法を学ぶことの意義
他のデータ収集法とのちがいを考えてみる:
- 実験
- 非参加的観察 (教科書 pp. 10--11)
- 質問紙調査
- 調査的面接 (インタビュー)
- 参与観察
調査的面接においては、コミュニケーションの過程をあまり標準化・構造化しない。面接者との会話の記録がそのまま分析データとなるため、会話の当事者としての主観的な解釈が大きな役割を果たす。
面接と書き起こしにかかる手間と時間が膨大である。このため、大量のデータはとれない。
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