http://tsigeto.info/2020/statu/u210108.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2021-01-08
X1 が X2 と Y の両方に影響をもたらしているが、X2 は Y に対しては影響力を持たない場合を考える
X1 → X2 X1 → Y X2 Y
このとき、X1 を無視して X2 と Y だけの関連を分析すると、 X2 が Y に対して影響を与えているように見えるので、因果関係を見誤ることがある。このような現象を「疑似相関」という。
X1 によって X2 が決まり、それによって Y が影響を受けるという因果関係を考える。
X1 → X2 → Y
このとき、X1 は Y に 直接 影響を与えているのではなく、X2 が「媒介効果」をもたらしていることになる。
以上のようなことを考えながら、独立変数間の関連と、従属変数に対する直接的な効果を同時に把握する。
一般線形モデルのデータに対するあてはまりのよさをあらわすのが「決定係数」 R2 である。決定係数は、分散分析でいう「相関比」ηの2乗に相当するので、平方根をとれば、ηと同様の感覚で、「そのモデルによって、従属変数がどの程度説明できているか」を評価できる。これは、回帰分析では「重相関係数」と呼ばれ、 R であらわす。
PSPPが出力する「分散分析」表では、「母集団においては決定係数がゼロである」(= どの独立変数も、従属変数に対して効果を持たない) という帰無仮説について検定を行った結果が表示される (「有意水準」の欄)。この結果が有意でなければ、モデル全体について、説明力があるとはいえないことになる。
決定係数が有意であれば、モデル内の各独立変数の効果について解釈していく。
各変数にかかる係数については、「係数」の表に、95%信頼区間が表示される。このなかにゼロが含まれているかどうかで、5%水準で有意な効果があるかどうかを判断できる (「有意水準」の列をみて判断してもよい)。
回帰分析をふくめ、多変量解析では、投入したすべての変数についてひとつも欠損値のないケースだけを分析に使う。このような欠損値処理方法を、「表単位」(listwise) の欠損値除去という。
この処理の結果として、多くの変数を投入すると、それだけケース数が小さくなるので注意。
自分の興味のある分野で、「媒介効果」と「疑似相関」の例をひとつずつ考えよ。教科書168--169ページも参照。
History of this page:
This page is monolingual in Japanese (encoded in accordance with MS-Kanji: "Shift JIS").
Generated 2021-01-08 14:20 +0900 with Plain2.
Copyright (c) 2020 TANAKA Sigeto