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田中重人 (東北大学文学部准教授)
2021-07-08
現代日本学社会分析研究演習I/現代日本学演習III「現代日本における社会問題の分析」
研究評価の3要素
通常は、企業の中でチームを組んでおこなわれる一連の仕事を指すことが多い。この場合は、人員や予算の制約がプロジェクトの管理の上で重要となる。
学生がひとりでおこなう研究の場合は、このような制約はあまり重要ではない。それよりも、自分の使える時間・体力・知識を正確に把握して、余裕をもって計画を立てる (進行状況を見て適宜修正する) ことが必要になる。
【課題】卒業論文/修士論文に向けてやらなければならないこととその時期的な見通しについて整理せよ。ガント・チャート (Gantt chart) の形で書くことを推奨するが、ほかの方法でもよい。
文章を書く=情報の流布 → 他人の利害との衝突
学問の世界では、「誰が最初に考えたか (または発見/発明したか)」ということに非常に高い価値が置かれている。 第1考案者 (または発見/発明者) は、そのアイデアや発見について「優先権」(priority) を持つ。
優先権は、著作権とはちがって、時間がたっても消滅せず、譲渡・相続不可能である。また、引用するにあたって当事者への連絡・許可は不要である。
大学のレポートにおけるplagiarismは、筆記試験における cunning と同様の不正行為とみなされる。
経済的利益を保護するために、さまざまな「知的所有権」が設定されている:特許権/意匠権/商標権/実用新案権 など。これらはいずれも、 経済的利害 がなければ問題にならない。
これに対して、著作権 (copyright) の侵害は、経済的利害がなくても問題になりうる。 (→「版権」は旧称)
著作権者は著作物について種々の権利を持つ
著作物とは、「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条) をいう。たとえば文章/音楽/舞踊/美術/建築/図面/映画/写真/プログラムなど (著作権法10条) がこれにあたる。アイディアやデータそのものではなく、それらの表現されたかたちが保護の対象になる。
公表された著作物から通常の文章だけを引用する場合の 許容範囲 (木下 (1981, p. 165) に田中加筆)
文章以外の引用の場合は、つぎのようにする
名誉やプライバシーの侵害が許容される例外的な条件は、次のふたつ (刑法230条の2第1項ほか)。
ただし、つぎの場合は許容基準があまくなる。
公表前に十分な準備を
許可のないまま公表せざるを得ないこともあるが、相応の覚悟が必要である。
マイノリティに対する蔑視表現、あるいは属性に基づく固定的イメージ (stereotype) を助長する表現に注意すること。
こうした表現が問題になるかどうかは文脈による。自分の文章がどのような派生的効果を持つか、読者によってどのように受け取られる可能性があるか、よく考えること。
近年、研究不正を防止するためのガイドラインが整備されてきており、大学や研究機関には、トラブルを防ぐための教育が義務付けられるようになってきている
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