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田中重人 (東北大学文学部教授)
2022-12-02
現代日本学演習IV「調査的面接の基礎」
第5講 インタビュー実施から書き起こしまで
[配布資料PDF版]
- [テーマ]
面接の実施、トランスクリプトの作成、聞き取り内容の整理
面接前にやること
- 対象者向け文章や面接承諾書など作成、事前の情報収集 (前々回資料)
- シナリオの作成 (前回資料)
- 場所と時間の決定、場所の準備
- 録音用機器やソフトウエアの準備。録音できるか、電池残量など確認すること
面接時
- 自己紹介
- 調査趣旨とデータ利用について説明し、同意を得る (授業の一環であること、録音すること、個人情報を消去したトランスクリプトをつくって授業中に検討し、レポートとして提出することをきちんと説明する。説明を書いた紙を熟読してもらい、承諾書に署名を求めるのが正式)
- 許可がえられたら、録音をはじめる
- メモをとりながら聞く (機材が故障することもありうる)。シナリオを加工して、メモ用の紙をつくっておくとよい。
- シナリオやメモが相手の目に触れないようにする
- 後日のために、連絡先をきいておくとよい (個人情報なので取り扱い注意)
面接終了後
- できるかぎり早く、会話が録音できていることを確認する
- 音声データをPCにコピーして、書きおこしをはじめる (記憶が新しいうちに)
- 通常は、前から順番に
- 共有のICレコーダを使う場合、レコーダの録音データは、PCに移せて内容が聞けることを確認したら消去する (ICレコーダはすぐ返却すること)
- 音声データは複数コピーをつくり、厳重に保管する (暗号化・パスワード機能つきのフラッシュメモリなど)。特に、共用PCで作業したあとにファイルを置き忘れないこと
書き起こし
トランスクリプトは、自分が読んで分析するためのものである (論文などで引用するときは、適宜整形する)。自分なりに記号などを工夫すること。基本的に、ターンごとに行をかえて書いていく。
- あいづちや重なった発話は適宜表記を工夫する →会話分析 (樫村 2010)
- 自分が後で読んだ時に記憶を正確によびだせるように書く
- あきらかないいまちがい、方言、特殊な符丁などについても、そのとおり書く →必要なら注釈を
- トランスクリプトだけを読んだ人とは解釈がくいちがうことがありうる →レポートに載せるときの根拠の書きかた
- 多言語の場合の書きかた
万一流出した場合にも対象者が特定できないよう、対象者の氏名や具体的すぎる固有名詞については、記号化するか、適当な仮名を割り当てる。
書き起こしの記号 (例)
会話分析で使われているものなどを参考に、自由に決めてよい (既存の文献を参照)
- 沈黙: (.) (2.5)
- 笑い、呼気、吸気: (笑) hhh .hhh
- イントネーション: (↓) (↑)
- 相手のあいづち: [....]
- 声が大きい: 下線
- 声が小さい: >> ..... <<
- 注釈: 〔......〕
情報の整理
対象者の基本的な属性については、事前にわかることを表などにまとめておくとよい。重要な内容について (特に事実レベルのこと)、表や箇条書きの形式で全対象者をまとめ、一覧できるようにしておく。この表に適宜必要な情報を追加していくとともに、自分の頭の中に全対象者の基本的な情報が入っているようにする。
次回
次回は「分析」の方法を取り上げます。自分の調査のトランスクリプト(前に作ったのを修正したのでもよい)を Google Classroom のストリームに授業前に提出。
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