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田中重人 (東北大学文学部教授) 2022-06-24

現代日本学演習II「統計分析の基礎」

第9講　分散分析

[テーマ] 分散分析 (ANOVA) の考えかたと計算方法を理解する

前回課題について

• 間隔尺度とみなせる変数を使うこと
• グラフの縦軸は % にすること (クロス表を使ったほうがいいかも)

PSPP「グループの平均」の表示桁数

PSPPの「平均の比較」→「グループの平均」では、データセットの「Decimal」の設定値で小数値が丸められてしまう。 Decimal の桁数を変えれば、その桁数で平均値とSDが表示される。

「一元配置分散分析」なら、Decimal の設定にかかわらず、小数第2位まで表示される：

• メニューの「分析」→「平均の比較」→「一元配置分散分析」を選択
• 「従属変数リスト」と「因子」を指定
• 「記述統計量」をチェック

分散分析の考えかた

グループ別の平均値を当てはめて仮想の分散を求める分析法を「分散分析」(ANOVA：ANalysis Of VAriance) という。

• 従属変数 (dependent variable) と独立変数 (independent variable)

相関比 (イータ) の性質：

• 最小値:
• 最大値:

大きさの評価基準は、Cramerの連関係数Vと同様。

なぜ相関比を求めると、平均値を比較していることになるのか?

課題

次のデータ (10人) について、分散分析を行なう

男性: 1, 2, 3, 3, 4

女性: 2, 3, 4, 4, 5

まず手計算 (またはスプレッドシート) で考えてみて、そのあと、PSPPにデータを入力して検算する。

1. 全体の平均値とSDを求める
2. 男女別の平均値を求める
3. 男性の平均値×5人と女性の平均値×5人からなる仮想データを考えてSDを求める
4. (3) のSDを (1) のSDで割ったものが相関比η

この相関比がなぜ「平均値の比較」の指標になるかを考えること。

※ PSPP出力の「分散分析」表では、「群間」が (3) に、「合計」が (1) に対応しているので、割り算して平方根をとると、相関比ηが求められる。

相関比とエフェクトサイズの関係

相関比ηとエフェクトサイズESの間にはつぎの関係がある (n₁, n₂ は各グループの度数、N = n₁ + n₂ は全体の度数)。

ES² = (η² /(1−η²) ) × ( N² / n₁ n₂ )

特に、2グループの度数が等しい (n₁=n₂) なら、この式は次のようになる。

ES² = 4η² /( 1−η² )

(グループの度数が違えば、ESはこれより大きくなる)

さらに、ηがあまり大きくない (η<0.4 程度) 場合であれば、次のような単純な式で近似できる：

モデルとデータの乖離

相関比ηは、モデルとデータの乖離を表した値と解釈できる

• 「モデル」は何か？
• データとの乖離はどうやって計算しているか?
• 係数の取りうる値の範囲は?

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