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田中重人 (東北大学文学部教授)
2025-06-25
現代日本学各論I/現代日本学社会分析特論I「現代日本における家族と人口」
近代以前の社会において家族が果たしてきた主要な社会的機能 (social function) としてはつぎのようなものがある。
近代化とともに、家族の機能は少なくなってきた (▼印のものが縮小)。この機能縮小の過程は、日本社会では、20世紀はじめごろから、都市部のサラリーマン層で進展した。日本社会全体にひろまるのは高度経済成長期 (1970年代ごろまでにほぼいきわたる)。
近代家族は、近代化に適応してできた家族制度である (山田 1994)。
他方、この制度にはさまざまな問題もある。「家族問題」とされる現象のほとんどは、近代家族の特徴に関係している
近代化は社会全体で一律に進むわけではなく、地域によって進行の度合いに大きな差が出てくる。都市では早くから近代化が進行するのに対して、村落ではかなり遅れて近代化が進行する。
ある社会の中に前近代的な部分と近代的な部分が並存している状態のことを、一般に「二重構造」(dual system) という。都市が近代的な産業の成長を遂げるためには、村落から供給される原料や労働力を必要とする。
やがて近代化は都市以外にも波及し、村落の人々の間にも都市的な生活様式が浸透するようになる。
この状態がさらに進行すると、村落の生活も都市の生活と似たものになってくる。
近隣の居住者による共同体 (local community) も存続するが、その機能は限定的。
小規模な村における共同体的な生活様式
「福祉国家」(welfare state) とはどのようなものか。また、福祉国家ではない国家としてはどのような例が考えられるか。
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