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田中重人 (東北大学文学部教授) 2025-07-02

現代日本学各論I/現代日本学社会分析特論I「現代日本における家族と人口」

第10講 福祉国家


[配布資料PDF版]
[テーマ] 生活保障と家族との関係を、日本社会の変動の中に位置づけて理解する

福祉国家 (welfare state) の形成

ひとりで生きていけない人の生活を誰が保障するかという問題。→ 旧来の共同体 (家族や地域) か、政府か、市場か?

20世紀の世界における重要な変化

歴史的経験を通じて経済における国家の役割が増大し、「混合経済」と呼ばれる経済体制が確立する (Samuelson, 1974)。

20世紀後半には多くの国で医療保険・年金制度が整備される →基本的人権としての「社会権」と、国家の責任としての「福祉」

福祉国家 (welfare state): 市民の幸福な状態すなわち「福祉」(welfare) の実現に一定の責任を負う国家。「一定の責任」の範囲として、平均的な市民が生活困難に陥ることを防ぐ「防貧」と、生活が困難な人を援助する「救貧」が想定される (武川 2017)。
社会保障 (social security): 社会保険と公的扶助 (次回) によって防貧と救貧を実現する仕組み

実際には、社会保険と公的扶助だけでは用が足りないので、ほかのさまざまな制度を総合して、全体として生活困難に対応する仕組みが成り立っている。そのような諸制度をふくめ、ある社会において救貧・防貧の機能を果たす仕組みの全体を、「生活保障システム」と呼ぶ (大沢 2007)。

福祉国家は、しばしば「修正資本主義」と呼ばれる国家体制の一種である。

日本の場合


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